2024年6月号
今回のテーマは「心理的安全性」です。心理的安全性とは何か、そしてこれを子育てや学校教育などの場でどのように実現するかお話しします。
心理的安全性とは
心理的安全性とは、「他の人に拒絶される恐れがなく、安心して自分の考えや気持ちや行動を表現できる状態」のことを指します。たとえば、「失敗しても責められない」「多様な意見や価値観が尊重される」「ありのままの自分でいられる」などです。
心理的安全性は子どもの成長にとって重要な要素です。心理的安全性が高い環境で育った子どもには次のような特長があります。
- 間違いを恐れず物事に積極的に取り組む
- あきらめずに努力し続けられる
- トラブルがあっても話し合って解決する力が高い
- 失敗しても回復が早い
- 創造性が高い
- 多様性を尊重する
- 自主性・自発性が高い
- 弱者に対して親切
などです。自立した大人が身につけておきたい性質ばかりですね。
逆に心理的安定性が低い環境で育つと、「消極的」「すぐあきらめる」「トラブルが起こるとキレるか一方的に我慢するか」「失敗するとなかなか立ち直れない」「創造性が低い」「多様性を尊重できない」「受け身の態度」「他者に無関心か過酷」。こんな大人になっては大変です。
大切な子どもたちが良い成長を果たすため、私たち大人はどのようにして心理的安定性を作り上げればいいでしょうか。
心理的安定性の高め方
(1) たっぷりの愛情表現をする
「大好きだよ」「今日もよくがんばったね」など、言葉で愛情を伝える。抱きしめたり肩を軽く叩いたりするなどスキンシップを豊かに取る。「いいね」サイン(👍️)やウィンクをする。甘えてきたら受け止める。
(2) 子どもの話をよく聴く
話を途中で遮らず、最後まで聴く。質問をして、子どもの考えや気持ちをもっと理解したいという意思を示す。子どもの意見や感想をすぐ批判したり修正したりせず、いったん「そっかぁ」「なるほどね」と受け止める。子どもが表現した気持ちに対して、「そうだよね」「つらかったでしょう?」「楽しかったね」などと寄り添う(共感する)。
(3) 子どもに考えさせる
子どもに関係することを何か決めるときは、子どもの意見も聞く。一方的に大人が指示するのではなく、「あなたはどうしたい?」「あなたはどうすればいいと思う?」「それをしたらこの先どうなると思う?」と尋ねる。選択肢を与えて、自分で選ばせる。正解が一つとは限らないことを伝える。
(4) 失敗を許し、前向きに対処する
失敗を責めるのではなく、どうすればよかったのか、これからどうしたらいいか一緒に考える。挑戦できたことを賞賛する。
(5) 生活習慣を整える
規則正しい生活習慣を身につけ、心身の健康を保つ。十分な睡眠と栄養を摂る。適度な運動をする。
(6) 一緒に遊ぶ時間・過ごす時間を作る
子どもが好きなこと、楽しいと思えることを一緒にする。一緒に家事などの作業をする。
(7) 困っているときは支える
「困ったときにはいつでも相談に乗るよ」と伝える。何か困っていることがあれば、話を聞き、一緒に解決策を考える。
学校における心理的安全性
学校においては、子どもと教師の関係だけでなく、クラスや部活動など、子ども同士の中での心理的安定性も重要です。
誰かが失敗したときにどのように接すればいいか、自分と違う価値観や生活スタイルの人に対してどのように接すればいいか、対人トラブルの際にどのように解決すればいいかを、具体的に教えてみんなに実践させましょう。
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