2015年11月号
この記事では、ABA(応用行動分析)を参考にした関わり方を紹介します。ポイントは、「メリットを使って、子どもの問題行動をやめさせ望ましい行動を伸ばす」です。
ABA(応用行動分析)
アメリカで発達障がい児の療育に用いられて効果を上げている、ABA(応用行動分析)という手法を知人から紹介されました。この手法は、発達障がいの子どもだけでなく、広く教育に応用できるとのことで、私もテキストを取り寄せて学んでいるところです。興味のある方はご連絡ください。
NOP法人「つみきの会」では、ABAを家庭の中で実践しています。公式サイトはこちらです。
メリットと行動の関係
応用行動分析では、子ども(子どもに限りませんが)が何かの行動(望ましい行動でも、問題行動でも)をするのは、そうすることでその子にとって何かメリット、すなわち「得」があるからだと考えます。
たとえば、買い物に連れて行くたびに、おもちゃやお菓子を買ってくれと店内で泣きわめく子がいるとします。親としてはほとほと困ってしまいますね。ではこの子が泣きわめくことによるこの子にとってのメリット、得なことは? そうです。そうすれば恥ずかしさに耐えられなくなった親や祖父母によって、おもちゃやお菓子を買ってもらえるということです。
望ましくない行動 | メリット | 行動の増加・強化 |
---|---|---|
店で泣きわめく | おもちゃやお菓子を買ってもらえる | 店でいつも泣きわめくようになる |
メリットにつながらない行動は消えていく
そしてこのメリットが保証されている以上、どんなに諭しても叱ってもこの子は泣きわめくことをやめないでしょう。もしもお店で泣きわめくのをやめて欲しければ、「どんなに泣きわめいても買ってもらえない」という経験をさせるしかありません。
望ましくない行動 | メリットでない結果 | 行動の減少・消去 |
---|---|---|
店で泣きわめく | おもちゃやお菓子を買ってもらえない | 泣きわめかなくなる |
最初は大変ですが、どんなに泣こうがわめこうが決しておもちゃやお菓子を買ってはいけません。
もちろん、母親が買わなくても父親や祖父母がたまに根負けして買ってしまうと、やっぱりこの泣きわめき行動は修正されません。これまた大変ですが、家族で一致した対応が必要なのです。
望ましい行動も、メリットがないと消えてしまう
メリットがなければ消えていくというのは、問題行動だけでなく、望ましい行動も同じです。「うちの子、ちっとも家のお手伝いをしようとしない」と嘆く前に、次のようなカラクリにはまっていなかったか振り返ってみましょう。
望ましい行動 | メリットでない結果 | 国道の減少・消去 |
---|---|---|
自発的にお手伝いする | ほめられたり感謝されたりしない | 手伝わなくなる |
自発的にお手伝いする | うまくできなかったと叱られる | 手伝わなくなる |
望ましい行動を取った場合には、それがどんなに稚拙で不十分であったとしても、すかさずほめたり、感謝したりするようにしましょう。それによって、子どもは喜びを感じ、その望ましい行動を自発的に行なうようになっていきます。
メリットの種類
さてABAでは、子どもが問題行動をする場合、次の4つの「メリット」を狙って行なうことが多いとしています(無意識にやっていることが多いでしょうが)。それは……
- 要求の実現 (お菓子を買って欲しいなど)
- 嫌な事態の回避 (宿題をやりたくないとか、不安な状況から逃れたいなど)
- 注目の獲得 (親や先生に注目されたい、もっと一緒に時間を過ごしたいなど)
- 感覚刺激 (刺激が欲しくて、自傷行為をしたり、物を叩いたりするなど)
たとえば注目が欲しくて、あるいは勉強したくなくていたずらなどの問題行動をしている子がいるとします。その子を親や先生が叱ったり追いかけたりするというのは、まさにその子の思うつぼです。欲しい注目を得られたり、叱られている間は勉強しなくてすんだりという効果があったわけですから、ますますその問題行動がエスカレートすることでしょう。
ですから、ABAでは、次のようなモットーを大切にしています。
問題行動を叱るより、望ましい行動をほめよう
これを心がけるだけで、子どもたちを望ましい方向に導くことができるようになるでしょう。ぜひ実践してみてください。
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