思うに任せないとき

スクールソーシャルワーカーだより スクールソーシャルワーカーだより

2014年4月号

どんなに本人や周りの大人が配慮しても、子どもたちの身に嫌なこと、つらいことは起こります。大切なのは、思うに任せぬ状況に陥ったとき、どんなふうに対処するかです。私たちは子どもたちに、嫌なことに遭遇したときの適切な対処法を教えてやる必要があります。

思わぬ出来事が起こったときの対応例

たいぢ
たいぢ

私自身の体験をお話しします。

先日、関東に出張した時のこと。私はホテルから駅の構内を通って、反対側のバス乗り場に移動していました。すると、駅の改札口付近に人だかりが見えました。もしかしたらと思って近づいてみると、案内板に人身事故が起こったために電車の運行がストップしており、「再開時間は未定」と書かれていました。

ある人が駅員さんを捕まえて、大声で怒鳴っています。別の人は泣きそうな顔をしています。皆さんそれぞれに大切なスケジュールがあって、遅れると困るのでしょう。私だってそうです。その日、私は研修会で教えることになっていました。私自身はバス移動だけなのでいいのですが、電車でいらっしゃる受講生の皆さんが、時間までに到着できない恐れがあります。

ただ、私がどんなに泣こうが、わめこうが、駅員さんに食って掛かろうが、それで人身事故が無かったことにはならないし、それで電車の運行再開が早まるとも思えません。ですから、時間とエネルギーの無駄になることはやめました。

そして、代わりに自分にできること、やって効果のあることを選ぶことにしました。すなわち、いつもは駅中の喫茶店でコーヒーを飲んでから会場に向かうのですが、それをしないで速やかに会場に向かい、主催者と対応を協議しました。その結果、研修自体の開催時間を1時間遅らせることにし、当初の予定通りにいらっしゃった方については、質疑応答をさせていただくことにしたのです。おかげで、その日の研修は非常に濃密なものになりました。

対応能力のある子に育てる

子どもたちは、学校などでいろいろな楽しい経験を積み重ねています。と同時に、残念な経験、いやな経験、理不尽だと思えるような経験もまた味わっていますし、この先何度も味わうことでしょう。そんなとき、子どもたちは泣いたり、怒ったり、わめいたり、固まって何もしなくなったりするかもしれません。それは「子ども」としては自然な反応です。

現実を知らしめる

ただ、少しずつ現実的・生産的・建設的な対応方法も教えていけるといいですね。まずは、泣いても、怒っても、わめいても、誰かに責任転嫁しても、結局それでは何も状況は変わらないことが多いよということ、むしろ、そんなことをしていたら、次のような危険を招く場合も多いよということを教えてあげましょう。

  • 冷静さを失い、かえって逆効果になるような行動をとってしまい、ますます状況が悪くなる危険がある。
  • 周りの人たちにうっとうしがられて、かえって本当だったら受け取れたはずの援助ももらえなくなくなる危険がある。

対応を引き出す

そして、

もしも今すぐに状況が変わらないとしたら、あなたはどのように行動したら、もっとも効果的で建設的だと思う?

と問いかけ、答えを考えさせましょう。

モデリング

結局のところ、起こってしまった出来事はもう変えられません。そして、他人も変えられません(人から無理矢理行動をコントロールされるのは、誰しもいやですから、無理やり変えようとするとかえって反発します)。

変えられないのに変えようとするから、ストレスがたまるのです。変えられるのは、今ここで自分がどのように行動するかということ。そこに集中することが、ストレスを軽くしますし、結果的に状況を変えることになります。

皆さん自身が子どもたちの前で、建設的なやり方をやってみせたり、そのように対応した体験を話したりなされば、子どもたちはより具体的に対応方法を身に着けやすいことでしょう。

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