【サンドイッチ話法】何が言いたいか子どもにうまく伝える方法

スクールソーシャルワーカーだより スクールソーシャルワーカーだより

2010年3月号

今回のテーマは「サンドイッチ話法」です。私たちの言葉は、子どもにうまく伝わっているでしょうか? どういうはなしかたをすればうまくつたわるのでしょうか??

何が言いたかったんだろう

中学生2年生の息子さんが、家庭で宿題以外の学習をしないことに悩んでいるご夫妻がいらっしゃいました。息子さんは部活動で疲れて帰ってくるため、家ではごろごろして過ごすのです。でも、学校からも、予習復習をするよう言われているし、来年は受験ということで親としても心配です。

そこでご主人が、「最近あいつも反抗期気味だから、母親の君がうるさく言うよりも、父親の俺が出て行った方がいいだろう」と言って、息子さんの部屋に向かいました。

「ちょっといいかい?」

息子さんの部屋に入ったお父さん、自分も学生時代に野球部に在籍してがんばったこと、文武両道し、家が貧しくて塾などには行けなかったけれど、一生懸命勉強して国立の大学に入ったことなどを話しました。

次の朝、息子さんが朝食を食べているとき、お母さんが尋ねました。

「昨日は、お父さんにどんな話をしてもらったの?」

すると、息子さんが困った顔をして答えました。

「うーん。父さんの学生時代の苦労話。なんだか、いろいろ苦労してきたみたいだね。でも、母さん、なんで父さんは突然あんな話を僕にしたんだろう? 最近影が薄いから、俺だってがんばってるんだぞってことを認めて欲しかったのかなあ? 母さん、もっと父さんを尊敬して、大切に扱ってやらないとだめだよ」。

お父さんは、やる気次第で、勉強と部活動は両立できるということを伝えたかったのです。そして、自分だってできたんだから、自分の息子であるお前にもきっとできるということを伝えたかったのです。でも、残念ながら、息子さんには全く伝わっていませんでした。

このように、こちらは伝えたつもりなのに、相手には全く伝わっていないということが、ありませんか? そういうことが多いという方は、伝え方を少し工夫してみると良いでしょう。

サンドイッチ話法

中学生に、受験の小論文や面接で、自分の気持ちや考えをどう伝えたらいいか相談を受けました。そこで、「サンドイッチ」と呼ばれるやり方を教えました。これは、話の最初と最後に、伝えたいメッセージを一言で表現し、間にその理由や根拠を挟むというやり方です。

先ほどのお父さんの例を使うと、このようになります。

「部活で疲れていると思うけれど、お父さんは、お前に宿題以外に最低1時間は机に向かって欲しいんだよ。というのは、行きたい高校を安心して受験できるためには、宿題以外の家庭学習がどうしても必要だし、もしも、成績が追いつかないせいで、お前が行きたい高校に入れないということになったら、親としてお父さんたちも悲しい。だから、後悔しないために、宿題以外に、最低1時間勉強して欲しい」。

サンドイッチ話法のポイント

サンドイッチ話法で大切なポイントが3つあります。

(1) 伝えたいメッセージを、一言で表現する

一言で表現できないということは、本人もまだ明確じゃないということですから、聞く方は余計に理解できません。

(2) 伝えたいことは一つに絞る

ついでだからと、あれもこれも伝えては、かえって焦点がぼやけて、理解してもらえなくなってしまいます。

(3) 間に挟む理由や根拠が、ちゃんと理由や根拠になっていること

しゃべる前に、紙に書き出して、独りよがりになってないかどうか、客観的に眺めてみるといいでしょう。

サンドイッチ話法を使うと、長々と話をする必要がありません。お互いに時間をセーブでき、しかも効果があります。ぜひ実践してみてください。

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