お金の教育

スクールソーシャルワーカーだより スクールソーシャルワーカーだより

2019年10月号

皆さんは、買い物の際、クレジットカードやデビッドカードや電子マネーカードやQRコード決済を使っておられますか?

家電などの大きな買い物や車の給油などでクレジットカードを使うくらいだった私も、最近ようやくスマホをかざすだけで決済できてしまうサービスを利用し始めました。そこで改めて思わされたことがあります。

目に見える現金がなくなっていく時代

IT先進国のスウェーデンやエストニアなどではほぼ完全キャッシュレス化していて、日々の生活にほとんど現金が必要ありません(寄付や教会の献金までキャッシュレスでできるそうです)。

IT後進国の日本でも、ようやく政府が本腰を入れてキャッシュレス化を推進しようとしていますから、今の子どもたちが大人になる頃には、お札や貨幣を目にしなくなる日が来るかもしれません。

資金管理の必要性

自分がキャッシュレス中心の生活を始めて感じたことは、資金管理をしっかりしないと大変だということです。自分が自由に使える資金がどれくらいあるかを確認し、月にどれだけ使えるかを決めて、実際に何にどれだけ使ったか正確に把握しながら計画的に使うということです。

現金なら使えば使っただけ目に見えて紙幣や貨幣が減りますから、「まだ余裕がある」とか「ちょっと使いすぎたな」とかが直感的に分かります。

ところが、日常の細かい買い物までキャッシュレスになると、どれだけ使ったかが直感的に分かりにくく、よほど気をつけて管理しないと、ついつい使いすぎてしまう恐れがあります。それを繰り返していれば、当然家計は火の車です。

実際、年収1000万円あるのに、生活が苦しいと言っている人がいました。

魔法のカード

教育評論家の尾木ママこと尾木直樹さんが、あるラジオ番組で、「子どもたちは、電子マネーカードやクレジットカードのことを魔法のカードだと思っている」と話しておられました。現金が手元に無くても、どんどん買い物ができてしまうからです。

もちろん、先にチャージしたり、後でまとめて請求されたりするのであって、「お金がなくても買い物ができる魔法」を使っているわけではありません。そして、ほとんどの場合それらは親のお金です。

しかし、大学を卒業したり就職したりして親元を離れれば、子どもたちは自分で自分の財産を管理しなければならなくなります。クレジットカードを持てるようになった途端ローン地獄に陥ってしまうというような悲劇に陥らないためにも、資金管理の能力をしっかりと身につけてもらう必要があります。

また、年金だけで老後の生活を送ることが難しい時代になったのですから、子どもたちも早いうちから資産を運用して増やしていく方法も学んでもらう必要があります。

お金の教育

そういうわけで、金融庁では「お金の教育」が大事だということを訴えています。日本でも「お金の教育」が行なわれてはいるものの時間数が少ないですし、どちらかというと知識先行で、実際の生活ですぐに使えるような内容ではないという評価もなされています。

他の先進国では、実践的な資金管理や投資の能力を身につけるための教育が年齢に応じて行なわれています。たとえば、

  • 自分の収入と支出の把握
  • 支出を減らして家計を見直す方法
  • クレジットカードとデビットカードの違いと使い方
  • ローンの返済計画
  • 資産運用の方法
  • 金融商品
  • 投資のシミュレーション
  • 戦争やテロ、国の政策変更などのニュースが、経済・株価・為替にどう影響するか

家庭でのお金の教育

学校のカリキュラムを変えるのは簡単ではありません。さりとて家庭で教えるとしても、保護者が投資を積極的に行なっているわけではない場合、子どもにそれを教えることも難しいでしょう。

しかし、家計の収支を把握し、それに基づいて生活を設計することはほとんどの保護者の方ができていらっしゃるのではないでしょうか。そのやり方をぜひお子さんに教えて差し上げてください。

しかも、「無駄遣いするな」というような抽象的な教え方では、子どもは実生活で実践できるようになりません。

子どもにどれだけの収入があるのか。絶対必要な支出はどれくらいあり、長期の貯蓄にどれだけ回すのか。残ったお金を何にどのように使うのか。すぐに買えない高額な商品やサービスについては、どのようにその資金を貯めるか……というようなことを、具体的に何をどのようにすればいいのか教えていただきたいのです。

まだお子さんが小遣い帳を付けていないのなら、まずは小遣い帳を付けてもらいながら、自分が何にどれくらいお金を使っているのかをしっかり把握してもらうところから始めてみてはどうでしょうか。

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