三分類法を使った子どもへの対応

スクールソーシャルワーカーだより スクールソーシャルワーカーだより

2014年1月号

以前ADHD(注意欠陥/多動性障がい)のお子さんへの対応法についてご相談をいただいた際、「三分類法」についてお話ししました。この方法は発達障がいではないお子さんの子育てにも有効だと感じましたので、簡単に紹介させていただきます。

行動を3つに分ける

まずは、お子さんの行動を以下の3つに分類します。

  1. 望ましい行動
  2. 絶対にしてはいけない行動
  3. それ以外の望ましくない行動

そして、それぞれの行動に対してふさわしい対応をし、できるだけ望ましい行動を増やしていけるように指導します。

(1) 望ましい行動について

望ましい行動、継続したり伸ばしたりして欲しい行動は、しっかり認め、ほめたり感謝したり感激したりします。それによって望ましい行動が強化され、継続的に行なうことができるようになっていきます。

ここで注意しなければならないことは、「望ましい行動」とは、必ずしも「何かすごいことができる」ということではないということです。100点を取るとか、一等賞を取るとかいうようなすごいことを達成したらほめようなどと思うと、なかなかほめられないことになります。すると、子どもは自信を失い、やる気を失っていき、できることまでしなくなるようになるでしょう。

  • (声は小さかったけれど)朝のあいさつをした
  • (10分しかもたなかったけれど)机に向かった
  • (好き嫌いを言いながらも、最後には)残さず食べた
  • (いつもはそうでないけれど、今日は)声をかけたらすぐに風呂に入った

……など、できて当たり前というところ、不十分だけれどとにかくできたというところにあえて注目し、「よくできたねー」「~してくれてうれしいな」などと認めることを心がけてみてください。

そして、「今回これだけできたから、今度はこれくらいできるかな?」とか「今度も同じようにできるかな?」などと励まします。

(2) 絶対にしてはいけない行動について

これは、自分や他の人を危険に追いやったり、財産を損ねる恐れがあったりするような行動です。普段危険な行動や迷惑な行動をしないお子さんに関しては、親にとって特に修正優先度が高い行動がこれに当たります。そのような行動については、すぐに止めて修正する必要があります。

その際、こちらが感情的にならないように注意しましょう。子どもが「絶対してはいけない行動」をしようとしている場面に直面すると、こちらは非常に驚かされることが多いでしょう。すると冷静に対処するのは難しいですが、できるだけ落ち着いた状態を作ります。お互い冷静になるために、場所を変えるのも有効です。

その上で、「それは絶対にしてはいけない。その理由は○○だから」と説明します。

そして、今後はどういう行動を取ればいいかを考えさせたり、教えたりします。

(3) 望ましくない行動について

上述の「絶対にしてはいけない行動」以外の望ましくない行動については、あまり細かく修正しようとするとどうしても叱ることが多くなります。すると、やはり自信喪失につながります。

また特に小さい子どもは、不適切な行動をわざとすることによって回りの大人の気を引こうとすることがあります。それに対していちいち感情的に対応していると、かえって子どもの思うつぼにはまり、不適切な行動を助長することになります(その詳しいカラクリについては、こちらの記事をお読みください)。

ですから、基本的には無視し、先に述べたように、望ましい行動を伸ばす方に意識を集中するといいでしょう。

「絶対にしてはいけない行動」のリストは少なく

ここで問題になるのが、毅然と修正しなければならない「絶対にしてはいけない行動」と、基本的には無視する「望ましくない行動」の区別をどうするかということです。「絶対にしてはいけない行動」のリストがあまり増えてしまうのはよくありません。その理由は、

  • リストが多いとしょっちゅう叱ることになり、子どもを萎縮させるからです。
  • 回りの大人も、その子を見るたびに嫌な気持ちになってしまうようになるからです。
  • 指導項目が多くなって子どもが混乱してしまい、結局指導の効果が上がらないからです。

ですから、どうしても指導したい行動から、一つ一つ関わっていくようにするといいでしょう。

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