大災害後の心身の不調・症状

スクールソーシャルワーカーだより スクールソーシャルワーカーだより

2011年4月号

未曾有の大災害でした。物理的な被害のあるなしにかかわらず、こういう大災害では、特にお子さんたちの心には様々なダメージが残ります。お子さんの心身に以下のような変調が出ていませんか?

様々な心身の不調

感情

睡眠障害、恐怖の揺り戻し、強い不安、孤立感、意欲の減退など。

人によっては、強いイライラや落ち込み、怒り、罪悪感、抑うつ感、悲哀、興奮状態などを覚え、そういう激しい感情の起伏による重い疲労感に襲われたりします。

身体

特に風邪などを引いたり激しい運動をしたりしていないのに、頭痛、手足のだるさ、筋肉痛、胸の痛み、吐き気、疲労感、息切れ、虚脱感、めまい、胃痛、身体が重い、発熱や悪寒などを経験します。免疫機能が下がるため、アレルギー症状がひどくなったり、病気になりやすくなったりします。

思考

これまではそうでなかったのに、集中力の欠如、偏見、決断がなかなかできない、混乱、不信、自己破壊的な考え、低い自己イメージ、一つのことへの強い執着などが起こります。

行動面

泣く、悪夢でうなされる、ボーッとしている、ため息をつく、活動過多、引きこもりがち、言葉による攻撃、けんか、おねしょ、赤ちゃん返り、過度にスキンシップを求めるなど、それまであまり見られなかった行動が出てきます。

喪に服するようなもの

保護者の皆さんや先生方にぜひ知っておいていただきたいのは、これらは異常な経験に対する、「正常な」悲しみの反応だということです。一種の「喪」のようなものだとお考えください。

大切な人を亡くした大人が喪に服するとき、他の大切な人たちと共に、亡くなった人の思い出話をしながら一緒に悲しみ、そうして混乱した心を少しずつ整理していきますね? そして、悲しみや混乱から立ち直るのに、人それぞれ必要な時間が違います。

ですから、大災害で心にダメージを負った子どもたちの場合も、無理にこれらの変調を直そうとしたり、無理に励まそうとしたりするのではなく、回りの大人が一緒にその悲しみや恐れを味わってあげることが大切です。一緒に、です。

無理に我慢させたり、この問題について話を避けたりして、感情を抑え込ませると、PTSD(心的外傷後ストレス障害)や心身症を発症させてしまうこともあります。

聴いてあげましょう

そこで、安心できる雰囲気の中で、その子が体験したことや、それについての今の気持ちを話してもらいましょう。

ただし、無理に地震や避難の経験を話させようとしてはいけません。

その子の方から何かを訴えるのを焦らず待って、自分から話をしてくれたこと、態度で表していること、先に書いたような不調についての話題から対話を始めましょう。先を急がず、その子のペースを守って。

そして、どんな感情が出てきても(たとえ、強い悲しみや、激しい怒りや死んでしまいたいというような感情でも)、いったんはそのまま受け止めて、理解してあげてください。どうしてそう思うのかをじっくり尋ねながら、「そうだよね、ホントにそうだよね」と。

回りの大人たちの、優しいまなざしと、平静な雰囲気が、言葉による励まし以上に子どもたちに安心感を与えます。ですから、回りの大人たちが自分のストレスケアをしていくことも大切です。

ご相談下さい

私も、学校や教育委員会を通じて、子どもたちや保護者の皆さん、そして先生方のストレスケアをサポートしていきたいと考えています。お子さんの様子について気になることがあれば、どうぞご連絡ください。保護者の皆さんや先生方の中にも、心身に不調を覚えていらっしゃる方がおいででしょう。そういう方も是非ご相談ください。

中学校には、より専門的な心理学的援助が可能なスクールカウンセラーもいらっしゃいますが、中学生だけでなく、小学校や幼稚園のお子さんや保護者の皆さん、さらには先生方にも対応してくださいます。村でも、今後様々なサポートをしてくださるはずです。皆さんは孤独ではありません。

原発のこともあり、完全復興までにはまだまだ時間がかかりそうですが、大玉村らしく、互いに助け合い、支え合いながらこの難局を乗り越えていきましょう。

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