反抗期の子どもへの対処法

スクールソーシャルワーカーだより スクールソーシャルワーカーだより

2010年1月号

ここのところ、子どもを伸ばすような話の聴き方についてお話ししていますが、今回はちょっと趣向を変えて、保護者の方からのご質問にお答えします。

読者
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中学生の息子を持つ母親です。
以前は素直だった息子が、最近反抗的な態度を取るようになって、親の言うことをさっぱり聞こうとしないので悩んでいます。
反抗期の子どもにどのように関わったらよいのでしょうか。教えて下さい。

これは、反抗期の子どもを持つ親の、共通の悩みですね。今はお子さんが幼稚園児、小学生でも、そのうち中学生になるわけですから、この問題は、どのご家庭でも人ごとではないでしょう。

反抗期とは何か

いわゆる反抗期というのは、2歳前後と中学生ぐらいの時期に訪れます。

この時期の子どもは、精神的に成長し、「自分のことは、自分で考えて、自分で決めて、自分で行動したい。そして、その結果が良くても悪くても、自分でしっかり味わいたい」という自立欲求が強くなります。特に、中学時代に訪れる、第二反抗期の時期というのはそれが強く出てきます。

そこで、小さいときと同じように、親が子どもの代わりになすべき行動を考えて、「ああしろ」「こうしろ」と指示をすると、「いつまでも子ども扱いして!」という強烈な反発心が生まれるわけです。

しかも、「そういう関わり方でなく、こういう関わり方をして欲しい」というふうに、自分の気持ちや願いを上手に表現して、親と交渉するコミュニケーション力はまだ十分備わっていません。そこで、攻撃は最大の防御というわけで、つい余計に反抗的な態度をとってしまう……これが反抗期です。

ですから、頭ごなしに「ああしろ」「こうしろ」という言い方をしては逆効果で、ますます反抗的な態度を増幅させてしまいます。かと言って、完全に大人というわけではなくて、まだまだいろんなことを学んだり身につけたりしてもらわなければなりませんから、子どもに何も言わないというわけにはいきませんね。

じゃあ、どうするか? それは、「子ども扱いされる」のが嫌なのですから、可能な限り「大人扱いする」ということです。

では、「大人扱いする」とは、どういうことでしょうか?

大人扱いしてみる

「叱る」の応用

大人扱いの一つの方法は、9月号でお話しした「叱る」を応用することです。ぜひ読み直して実践してみてください。

どうしたらいいと思う?

そして、反抗期の子どもは、「自分のことは、自分で考えて、自分で決めて、自分で行動したい。そして、その結果が良くても悪くても、自分でしっかり味わいたい」という願いを持っています。それをないがしろにされていると感じるので、反抗するわけです。ですから、この願いを、可能な限りかなえてあげると良いのです。

つまり、問題点を指摘した後で、「こうしなさい」と解決策を指示するのではなく、「君はこの問題についてどう思う? どうしたらいいと思う?」と尋ねるわけです。これが二つ目の方法です。

すると、結構、自分で考えて良い答えを出してきて、親の方が教わることも多いものです。しかし、大人の目から見たら、甘い、非現実的な考えを披露する場合もあるでしょう。

その場合でも、決してその考えを馬鹿にしたり、否定したりしてはいけません。「なるほど」といったん受け止めましょう。その上で、「でも、そのやり方だと、こういう問題があるんじゃないかと心配なんだが、その点はどう思う?」と、続けて考えを尋ねます。こうして、現実的な判断の仕方を、子どもは学んでいきます。

たとえば

子どもがテレビばかり見ていて、あまり家庭学習をしていないように思える。そんなとき、「勉強しろ」と言って勉強してくれるなら、こんなに楽なことはないですね。つまりは、あまり効果がない。

そこで、「君は、高校進学はどうしたいと思っているの?」という質問から始めてみます。しばらく、子どもの考えを聞いた後で、「ところで、今のペースで勉強していて、志望校に受かると思うかい?」と尋ねます。

これに対してお子さんが「思う」という答えだけれど、あなたはそう思わないのなら、「こういう理由で、私は心配なんだ」ということを伝えます。逆にお子さんが「思わない」と答えたら、「じゃあ、どうしたらいいと君は思う?」と、さらに尋ねます。

急がば回れ

こういうやり方は、面倒で時間がかかります。ですから、手っ取り早く指示したり命令したりした方が早いような気がします。しかし、頭ごなしの指示ではうまくいかないからこそ、「反抗期の子どもにどう関わったらいいか」と悩んでおられるわけですよね? ならば、このやり方を試してみてはいかがでしょうか。

なお、この「考えを聞く」というやり方は、中学生だけでなく、小学生や幼稚園児にも使えます。小さいうちからこういう関わりをしていくと、自立心が養われて、後々手がかからずにすみます。

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