ビジョントレーニング

スクールソーシャルワーカーだより スクールソーシャルワーカーだより

2010年8月号

夏休み中、大玉村と本宮市共同開催の「特別支援教育啓発セミナー」に参加してきました。テーマは「ビジョントレーニング視覚機能トレーニング」です。これは学習障がい(LD)の子の講師は、視機能トレーニングセンターJoy Vision代表の北出勝也先生です。今回は、北出先生から学んだことを紹介させていただきます。

視覚機能チェック

お子さんに、以下のような困難がないでしょうか?
(以下、北出勝也著「学ぶことが好きになるビジョントレーニング」図書文化より引用)。

  1. 音読の時、行を飛ばしたり、同じ所を何回も読んだり、読んでいる場所が分からなくなったりすることがある。
  2. 読むときに、非常に時間がかかる。
  3. 読むときに、大きく頭や体を動かす様子が見られる。
  4. 近くを見るときに、頭を斜めにして見ようとしたり、しきりに目をこすったりする様子が見られる。
  5. 黒板に書いた文をノートなどに書き写すことに時間がかかる。
  6. 文字を書くときに、枡からはみ出したり、読めないくらい形が整わない文字を書くことがある。
  7. 筆算の計算で、桁をそろえてノートに書き、計算することが難しく、書いているうちに位がずれてしまうことがある。
  8. ボール運動が苦手で、投げられたボールをうまく受け取ることが難しい。
  9. はさみを使って直線上や曲線上をうまく切ることができず、不器用である。
  10. 作業や話を聞くときなど、集中して見ることが苦手で、絶えず視線を動かす様子が見られる。
  11. 書くことが苦手で、漢字をなかなか覚えられない。ひらがなや漢字の書き間違いが多い。似たような漢字を間違えることがある。
  12. 図形の問題が苦手で、描くことが苦手な図形(たとえばひし形)がある。
  13. 計算はできるが、文章題になると理解することが難しく、答えが出せないことがある。
  14. ダンスや体操で、まねをして体を動かすことが苦手である。
  15. 目で見た、人物やものの形などを描くことが苦手である。
  16. 靴など、生活の中で左右を間違えることがある。

見ることが苦手な子

身体的・知的な障がいがないのに、上述のようなことが苦手だというお子さんがいます。その中には、学習障害(LD)と診断されるお子さんもいます。

このような苦手があると、当然学校の成績はふるいません。かといって、努力が足りないわけでも、サボっているわけでもありません。本人は一生懸命なのに、どうしてもできないのです。その結果、親や先生はイライラし、本人はどんどん自信を失い、元々あったやる気も損ねてしまいます。

もしかしたら、そういうお子さんは「見る力」に問題があるのかもしれません。眼科に行って検査をしてもらって、視力に問題がないと言われたとしても、視覚機能が未発達なお子さんがいるのです。

視覚機能とは、眼球運動の機能(入力の機能)と、ものの形や空間を認識する脳の機能(情報処理の機能)のことです。眼球運動機能が未発達だと、スムーズに眼球が動かなかったり、両目の連携が悪かったりするために(うまく寄り目ができないなど)、上述のチェックの1~10のような問題が生じます。形の認識機能が未発達だと、11~16のような問題が生じます。

視覚機能はトレーニングで向上できる

視覚機能は、トレーニングによって向上させていくことができます。それによって学ぶことの困難を解消できれば、苦手だった勉強が好きになるということも起こってきます。

福島県でビジョントレーニングを行なってくれる施設としては、大玉村近郊だと「スマイルビジョン」(郡山市富田町)があります。詳しくは公式サイトをご覧ください。

北出先生のセンターは神戸にありますが、ご興味があれば「視機能トレーニングセンター JoyVision」のサイトをご覧ください。

また、ご自宅で視覚機能のチェックやトレーニングをするためのテキストも出ています。私もこのテキストを手に入れましたので、ご相談いただければお見せいたしますし、さらにご希望があればご一緒にお子さんへのトレーニング方法を考えることもできます。

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