効果的な反省

スクールソーシャルワーカーだより スクールソーシャルワーカーだより

2025年9月号

その昔、滋養強壮ドリンク剤のCMで、「反省だけなら猿でもできる」というキャッチコピーが用いられて流行しました。子どもたちは良いことも不適切なこともしながら成長していきます。大切なことは、子どもたちに「効果的な反省」の方法を身につけさせることです。

反省ザル

反省がただその場しのぎにならず、今後の適切な行動につながるような「効果的な反省」をするにはどうしたらいいでしょうか?

反省の3ステップ

効果的な反省とは、ただ単に自分がやってしまったことを後悔して罪責感にさいなまれることではありません。次につながる効果的な反省のためには、以下の3つのステップを踏みます。これらは頭の中で考えるだけでなく、紙の上に書き出すとより整理ができて効果的です。

事実を書き出す(What?)

まずは、何が起こったのか、事実を客観的に書き出します。感情や主観を入れず、「私はAをした。その結果Bが起こった」といったように、起きた出来事を淡々と記録します。

原因を深掘りする(Why?)

次に、なぜその事実が起こったのかを深く考えます。たとえば、「なぜAをしたのか?」、「なぜその結果Bが起こったのか?」といった問いを立てて、根本的な原因を探ります。このとき、自分の行動だけでなく、環境や他者の影響など、複数の要因を考慮することが重要です。

次の行動を考える(How?)

最後に、同じ失敗を繰り返さないために、これからどう行動するかを具体的に決めます。「次からは注意する」といった抽象的な表現ではなく、「次回同じ状況になったら、Cという行動をとる」といった具体的な行動計画を立てましょう。

反省の3ステップ

子どもに反省を促す際、これら3つのステップに則って質問を投げかけると良いでしょう。

心理的安全性に配慮して指導しよう

子どもに「効果的な反省」を促す際は、「心理的安全性」に配慮します。

心理的安全性とは、自分の失敗を隠したりせず、意見や感情の表出を安心して表現できる雰囲気を指します。心理的安全性が確保されないと、子どもは言い訳をしたり、ごまかしたり、口先だけの反省の弁を述べてその場をやり過ごそうとしたりします。それでは意味がありませんね。

失敗した子どもに反省を促す際は、不適切な行動やまずい結果を責めることに終始するのではなく、まずは失敗して後悔したり悲しんだりしている感情に寄り添いましょう。「残念だったね」「悔しいよね」というふうに。

そうして否定的な感情が落ち着いてから、こちらも冷静に「反省の3ステップ」に則った質問を投げかけます。

心理的安全性に配慮した反省の促し方

ポジティブな反省

反省というと、つい「ダメだった点」ばかりに目が行きがちです。しかし、100%ダメというケースは滅多にありません。ダメな結果に陥ったとしても、かならず良かったことがあるはずです。そういった「うまくいった点」にも焦点を当てることで、より前向きな学びを得ることができます。

うまくいったこと(Good)

成功したことや、自分の学びや強みになった部分を振り返ります。

改善すべきこと(Bad)

課題や反省点を客観的に分析します。先ほど紹介した3ステップの1番目と2番目に当たります。

次にやること(Next)

次に何をするかを具体的に決めます。3ステップの3番目に当たります。

そして、ご自分で今回紹介した反省の方法を試してみてください。自ら効果を体験できれば、子どもに教えることも容易になりますから。

自分でもやってみよう

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