2026年7月号
「能力自体は低くないのに、ちょっとつまずくとすぐにあきらめてしまう。」「親が見ていないとやるべきことをやらない。」子どもについて、こんな悩みを持つ保護者や先生は多いのではないでしょうか。この問題について考えるために、今回は学力のように数字では測りにくい能力、「非認知能力」についてお話しします。
非認知能力が人生を左右する
非認知能力とは、知能指数やテストの成績、覚えた漢字の数といった「数字で測れる力」ではなく、以下のような力を指します。
- やり抜く力:困難なことでも諦めずに続ける力
- 自己制御力:感情や欲望をコントロールする力
- 社交性:人間関係を築く力
- 好奇心:新しいことに興味を持つ力
- 自信:自分なら大丈夫という根拠のない前向きさ
経済学者による30年以上の追跡調査によると、テストの成績が良い子よりも、こうした非認知能力が高い子の方が、大人になってから高い年収を得たり、安定した人間関係を築いたり、人生満足度が高かったりするという結果が報告されています。
もちろん、学力は大切です。しかし、学力だけが高くても、非認知能力が十分育っていなければ、その学力を活かし切ることができないということです。
非認知能力はどうやって育つのか?
非認知能力は、親が与える指示やほめ言葉だけでは育ちません。子ども自身が学習や人間関係などで失敗や困難を経験し、その中で試行錯誤することによって育つのです。
たとえば、テストで思うような点数が取れなかったとき。親が「もっと勉強しなさい」と叱るだけでは、子どもの非認知能力は育ちません。親子で「どうしてわからなかったのか」「次はどうやってみようか」と一緒に考え、子ども自身に小さな工夫や行動を決めさせることが大切です。
その過程で、子どもは「自分でなんとかできる」という自信を手に入れ、失敗や困難があってもやり抜く力が育っていきます。
親や教師にできること
子どもの非認知能力を育てるために、私たち大人がすべきことはシンプルです。
(1) 過度に保護しない
「失敗させたくない」という親心から、つい先回りして子どもの失敗を防いでしまいがち。しかし、大人が安全な範囲内で失敗させてあげることが大切です。
(2) 失敗の後の対話を大切にする
失敗したとき、頭ごなしに叱るのではなく、「どうなったの?」と落ち着いて話を聴きます。そして、「次はどうしようか」と子ども自身に考えさせます。このとき、すぐに答えを教えるのではなく、優しく問いかけを続けることが大切です。
(3) 小さな成功を積み重ねさせる
非認知能力は、一度の大成功よりも、「小さな”できた”の積み重ね」によって育ちます。「昨日はできなかったことが今日できた」という経験を繰り返すことで、子どもの中に「やればできる」という実感が生まれるのです。
(4) 親や教師自身も失敗を示す
子どもは大人の言葉よりも、その行動により強く影響を受けます。私たちが子どもの前で、「私も間違えた。こうやって直してみよう」と立ち直る姿勢を見せることで、子どもは私たちをモデルにして、そのやり方、すなわち失敗してもやり直し、やり続ける生き方を学び取ります。
私たち大人の役割は、子どもに失敗させないことでも、完璧な答えを与えることでもありません。子ども自身が失敗から何かを学び、つまずいてもやり通す力を身につけさせることです。
今日から、そのような視点で、お子さんへの関わり方を工夫してみましょう。
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