リフレーミングと例外探し

スクールソーシャルワーカーだより スクールソーシャルワーカーだより

2023年12月号

リフレーミング」とは、思い込みや先入観、固定概念から離れて、これまでとは違う物の見方、捉え方をすることです。私たちが大切な子どもたちにとって良いサポーターになるため、リフレーミングはぜひ身につけておきたい技術です。今回は特に「例外探し」のスキルを紹介します。

リフレーミングの例

肯定的な言い換え

例外探しについて触れる前に、典型的なリフレーミングスキルである「肯定的な言い換え」を紹介します。これは人の短所がプラスに働いたらと考えて、長所として表現し直すことです。たとえば我が子や教え子について「あの子グズで、いつもパッパと行動できずに困るのよね」と思っていたとします。しかし、もしもグズな性格がプラスに働けば、「ていねい」と表現できますね。

他にも、「怒りっぽい」は「正義感がある」や「アツい」、「泣き虫」は「情感豊か」や「感受性がある」、「嘘つき」は「創造性が高い」や「頭がいい」、「集中力がない」は「好奇心旺盛」、「がさつ」は「神経質ではない」、「神経質」は「きめ細やか」などと表現することができます。

良かった探し

また「良かった探し」のリフレーミングもよく行なわれています。これは嫌だと思うような出来事によって肯定的な影響が起こらなかったか探すことです。たとえば誰かから自分の失敗や短所を指摘して責められたとします。「嫌われた」「ダメ人間だと思われた」と受け取ると落ち込みますが、「成長のポイントを教えてもらった」「成長を期待されている」と受け取ることもできます。

児童文学「少女パレアナ」の主人公パレアナは良かった探しの名人です。ある日、庭師のおじいさんが自分の腰がすっかり曲がってしまったことの良かった点は何かと質問しました。するとパレアナはにっこり笑って言います。「そうね、すぐにゴミが拾えるわ」。

リフレーミングの効果

肯定的な言い換えや良かった探しをしたからといって、状況が変わるわけではありません。しかし、ちょっとだけ前向きな気持ちになったり希望が持てるようになったりします。場合によっては、リフレーミングしたことで「クスッ」と笑いが出てくるかもしれません。そんなふうに精神的に余裕が出てくれば、課題に取り組む際にもやる気が生まれ、結果も自ずと良いものになることでしょう。

例外探しのリフレーミング

このように効果が見込めるリフレーミングですが、「肯定的な言い換え」や「良かった探し」を自分で行なうには多少の練習や慣れが必要です。そこで、もう少し取り組みやすいリフレーミングの方法を紹介します。それが「例外探し」です。

例外探しは、文字通り例外を探すことです。「うちの子グズ」と思っていても、意識して探すと例外、すなわち時間通りに行動できた場面がこれまでいくつもあることに気がつきます。「あの人意地悪」と思っていても、探してみると親切な言動をしてくれたことが1回や2回はあったかもしれません。

例外探しは私たちが「この人はこういう人だ」「私の人生はいつもこういうことが起こる」と安易に決めつけてしまっているとき、それが間違いだと気づかせてくれます。そして、新しい物の見方を考えるきっかけを与え、肯定的な言い換えや良かった探しなどをしやすくしてくれます。

リフレーミングの注意点

他の人の課題についてリフレーミングを行なうときには、充分に相手の話を聴き、つらい気持ちに共感してからにしましょう。そうでないと相手は「この人は私の抱えている問題を軽く扱っている」「僕の気持ちを分かってくれない」と感じ、よけいにつらい思いをさせてしまいます。

悩みを抱えるお子さんにリフレーミングする力を身につけて欲しければ、まずあなたがモデルとして自分自身の課題をリフレーミングしてみせるのが良いでしょう。あるいはあなた自身のちょっとした課題について、ゲーム感覚で「一緒にリフレーミングしてちょうだい」とお願いしてみるのはどうでしょうか。

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