2023年5月号
効果を上げやすい目標は、後で評価が可能な目標です。
お子さんの入園・入学・進級から1カ月が経ちました。新しい環境にも慣れてきて、自分がやりたいことや克服したいことがはっきり見えてきているのではないでしょうか。GW明けでちょっと張り詰めていた緊張の糸が緩みがちなこの時期に、しっかりと目標を設定して生活することで、この1年、さらにその先まで、お子さんはぐんぐんと成長していくことでしょう。
ただ、目標設定にもコツがあります。よい目標設定ができるよう、ぜひ皆さんもお子さんの目標設定のお手伝いをして差し上げてください。
後で明確に評価できる目標
よい目標とは、「達成できたかどうかを後で明確に判断できる目標」のことです。「明確に」とは、誰がいつどんな気分で評価しても、目標が達成できたかどうかという判断が変わらないということです。以下の2つの目標のうち、よりよい目標(明確に評価できる目標)はどちらだと思いますか?
- 漢字をがんばる
- 次の漢字テストで80点を取る
2番はすばらしい目標ですが、後で明確に評価できるかという点では疑問が残ります。がんばったかどうかという評価が、人によって、またその時の気分によってコロコロ変わる可能性があるからです。一方2番の目標は、誰がいつどんな気分で評価しても目標が達成できたかどうか判断できます。
数値目標
明確に評価できる目標にするには、可能な限り数値を入れた目標にすることです。期日・長さ・重さ・回数・点数などを入れるということです。たとえば「二重跳びができるようになる」よりも、「5月31日までに二重跳びで5回飛べるようになる」の方がより明確ですね。
クリアに映像化できる目標
はっきりイメージした未来像は、私たちの無意識に作用します。そして、知らず知らずのうちにやる気を引き出したり、アイディアを生み出したり、未開発の能力を開花させたりして、目標達成に近づけてくれるのです。
明確に評価できる目標は、それを達成した状態をクリアにイメージできます。「漢字をがんばる」という目標だと、机に向かって漢字の書き取りをやっている姿はイメージできても、達成したときの姿はイメージできません。しかし、「次の漢字テストで80点取る」という目標なら、達成したときの姿をはっきりイメージできますね。そして、無意識もその目標達成を助けてくれます。
行動計画の助けになる
後で明確に評価できる目標は、その目標を達成する方法を考える行動計画を立てるのにも役立ちます。同じ3kg減量するのでも、1カ月で達成するのと1年で達成するのとでは当然ダイエット方法が異なるはずです。
再チャレンジの役に立つ
「成功者とは、成功するまであきらめなかった人のことだ」という言葉があります。では、「あきらめない」とは具体的にどういうことでしょうか。それは、うまくいかなかったときに、
- 目標やそれに基づいて立てた行動計画を見直し、なぜ達成できなかったか考える。
- 新しく目標と行動計画を立て直して再チャレンジする。
……という作業を、成功するまで何度も繰り返すことです。
不明確な目標は立てっぱなしになることが多く、後で達成できたかどうか検証することなく放置されてしまいます。結果、次につなげることができません。一方、後で明確に評価できる目標なら、たとえ達成できなくても新しい目標を設定し、行動計画を立て直して再チャレンジする助けになるのです。たとえば、
- 今の実力では目標の数値が高すぎたのかもしれません。
ならば数値を下げた新しい目標を立てることで解決しそうです。 - すぐに飽きてしまって、練習が計画通りに行なえなかったのかもしれません。
ならば練習を続ける時間を小分けにして、タイマーを設定した上で間に休憩を挟むようにすればよいかもしれません。
お子さんがどんな目標を立てたか、そしてそれが後で明確に評価できるものになっているかどうか、ぜひ話し合ってみてください。そして、後で達成できたかどうかの評価や、達成できなかったときの再チャレンジについても、ぜひ知恵と励ましを提供して差し上げてください。
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