現代社会を生きるあなたは、日々の仕事や家庭の忙しさに追われ、心が休まる暇もないのではないでしょうか?
頭の中がタスクや情報であふれ、静まらない雑音の中にいる感覚が続くと、心身のバランスは崩れがちになります。
一体どうすればよいのでしょうか。
本記事では、心に穏やかさを取り戻すための「マインドフルネス瞑想」を紹介します。
初心者でも続けやすいやり方、効果を高めるコツ、生活に取り入れるヒントまでの具体的な解説です。
読後はストレス軽減や集中力向上、睡眠の質の改善に向けた一歩を踏み出せるはずです。
ぜひ、マインドフルネス瞑想で心穏やかな毎日を手に入れてください。
初心者でも迷わないマインドフルネス瞑想の始め方3ステップ
マインドフルネス瞑想に特別な道具は不要で、初心者でも簡単に始められます。
本章では、マインドフルネス瞑想の基本的なやり方を3ポイントにまとめています。
- 環境と姿勢を整える(椅子・床・寝ながらの選び方)
- 呼吸に意識を向ける
- 雑念が出ても放っておく
環境と姿勢を整える(椅子・床・寝ながらの選び方)
静かで落ち着ける場所を選び、無理のない姿勢をとりましょう。
外からの刺激が少ないほど、内面への注意を保ちやすくなります。
また、体に負担がかかる姿勢は集中を妨げるため避けましょう。
(例)
スマホの通知やテレビは切りましょう。
椅子なら背筋を軽く伸ばし両足を床につけて座ります。
床ならあぐらや正座で、必要ならクッションを使用します。
横になる場合は仰向けで手足をゆるめ、眠気が強い日は短時間にしましょう。
呼吸に意識を向ける
「マインドフルネス」とは、「意図的に、今この瞬間に、判断や価値評価をすることなく、注意を向けること」(Jon Kabat-Zinn『Wherever You Go, There You Are』1994年)です。
マインドフルネス瞑想を行うと、マインドフルネスの状態に導かれます。
そして、心や体がリラックスしたり、ストレスから解放されたりします。
基本的なやり方は、「自分の呼吸に意識を向け続ける」です。
以下の方法で実践しましょう。
- 軽く目を閉じ、鼻からゆっくり息を吸い口から吐く(鼻呼吸が楽なら鼻で往復)。
- 空気の出入り、お腹や胸の動きに意識を向ける。
- しばらく続ける。
雑念が出ても放っておく
「瞑想」と聞くと、雑念を消して無の境地にならなければと考えがちです。
しかし、マインドフルネス瞑想では、雑念は失敗ではありません。
マインドフルネスとはありのままの自分に気づいて受け入れる心の状態なので、雑念が湧いている今もそのまま受け入れます。
雑念を消そうと努力すると、かえっていろいろな考えが浮かんできます。
雑念に気づいたら、「ああ、今○○について考えているな」と認めて、すぐに呼吸に意識を戻しましょう。
マインドフルネス瞑想で心と体が変わる3つのポイント
マインドフルネス瞑想には、思考の整理・ストレス反応の緩和・集中力や睡眠の質の向上といった効果が期待できます。
本章では、中心的な3つの変化を解説します。
- 思考のざわつきが静まり、脳の疲れが取れやすい
- ストレス反応が和らぎ、感情の波に飲まれにくくなる
- 集中力・睡眠の質が上がりやすい
思考のざわつきが静まり、脳の疲れが取れやすい
現代は情報量が多く、脳は常に処理を強いられています。
マインドフルネス瞑想は、思考の過活動をしずめ、頭の中を整理しやすくします。
呼吸や体の感覚に注意を向けると、情報処理が一旦停止して休息できるからです。
(例)
仕事中に作業の中断が多いと、集中が切れて疲れやすくなるものです。
中断後に短い瞑想を挟むと、スムーズに元の作業に戻れ、無駄なエネルギー消費を抑えられます。
ストレス反応が和らぎ、感情の波に飲まれにくくなる
マインドフルネス瞑想は、自律神経のバランスを整え、過剰なストレス反応を落ち着かせる可能性があります。
ゆったりとした呼吸により、副交感神経優位の状態が生まれやすいからです。
(例)
プレゼン前に緊張する場合、短くマインドフルネス瞑想を行います。
すると、落ち着きを取り戻し、本来の実力を発揮しやすくなるでしょう。
集中力・睡眠の質が上がりやすい
マインドフルネス瞑想は心と体の緊張状態を緩和するため、睡眠の質が高まったと実感する人が多くいます。
就寝前に行えば、心配事を手放しやすくなり、寝付きが良くなるでしょう。
【シーン別】続けやすいマインドフルネス瞑想の実践3パターン
基本のやり方をベースに、日常のシーン別に、マインドフルネス瞑想のやり方を紹介します。
- 寝る前に気持ちをゆるめる「睡眠瞑想」
- 体と呼吸を同時に整える「歩行瞑想」
- ストレスを解消する「1分間リセット瞑想」
寝る前に気持ちをゆるめる「睡眠瞑想」
就寝前の短いマインドフル瞑想は、緊張をゆるめ入眠を助けます。
ブルーライトや情報の刺激で高ぶった脳を瞑想でクールダウンさせると、休息モードへ移行しやすくなるのです。
次のように行いましょう。
- 仰向けで数回深呼吸する。
- 頭→首→右肩→右上腕…と、体の各部位を順に意識し、それぞれの部位について「力が抜けて重くなってきた」と心の中で唱える。
- 全身の力が抜けたら、呼吸に意識を向ける。
体と呼吸を同時に整える「歩行瞑想」
歩く際に、足裏の接地の感触や、体重移動の感覚を意識します。
そして、歩行リズムと呼吸を合わせましょう。
すると、目を閉じてじっとしていなくても、瞑想の効果が現れます。
ただし、転んだり事故に遭ったりすると危険なので、周囲を確認しながら実践してください。
ストレスを溜めた日のための「1分間リセット瞑想」
マインドフルネス瞑想は、長時間行わなければ効果がないわけではありません。
たった1分でも、ストレス解消が期待できます。
退勤後の電車の中や帰宅後のリビングで、以下の手順で行いましょう。
会議前や家事の合間でも実施可能です。
- 背筋を楽に伸ばして腰掛ける。
- 4秒で息を吸い、6〜8秒で吐く。その際、空気の流れや胸やお腹の動きに意識を向ける。
- 感情に気づいたら、「怒り」「不安」といった短い名前をつけ、再び呼吸に意識を戻す。
- 1分間続ける。
初心者が挫折する3つの壁とやさしい対処法
「かつてマインドフルネス瞑想に挑戦したけれど続かなかった」という方はいらっしゃいますか?
本章では、挫折してしまう代表的な理由とその対処法を紹介します。
- 「雑念が消えない」壁への対処法
- 「時間が取れない」壁への対処法
- 「効果を感じない」壁への対処法
「雑念が消えない」壁への対処法
雑念を消そうと頑張るのに、かえって強まってしまい、「自分には無理だ」とあきらめてしまう人がいます。
雑念を意識しないよう努力すればするほど、脳はかえって意識してしまいます。
意識しない最も良い方法は、他への意識変更です。
次々に浮かんでくる雑念を消す必要はまったくありません。
「雑念が湧いてきた」と認めたら、そのままにしてすぐ呼吸や体の感覚に意識を戻しましょう。
すると、いつの間にか雑念に惑わされなくなっているはずです。
「時間が取れない」壁への対処法
忙しくてまとまった時間が取れないから、結局続けられなかったという人がいます。
マインドフルネス瞑想は、たとえ1〜2分といった短時間でも、リラックス効果やストレス解消効果を発揮します。
また、通勤・歩行・家事などの「すでに行っている動作」を意識し、感覚を観察するだけでも十分です。
たとえば、
- 電車で座れたら目を閉じて呼吸を意識する。
- 立っているなら、足裏の圧を観察する。
- 食器を洗いながら、手触りと水温に注意を向ける。
短くても毎日続ければ、必ず効果を実感できます。
「効果を感じない」壁への対処法
マインドフルネス瞑想の効果は、多くの場合徐々に現れます。
そこで、短期間に劇的な効果を期待していたために、当てが外れてやめてしまう人がいます。
ただ、劇的な変化は感じられなくても、過去の自分と比較すれば必ず「小さな変化」が見られるはずです。
小さな変化に注目する習慣を付けると、継続する力になるでしょう。
(例)
1週間ごとに、「入眠までの時間」「朝のすっきり感」「イライラの強度」を10段階評価する。
マインドフルネス瞑想を習慣化するための3つのコツ
マインドフルネス瞑想は、毎日の継続が大切です。
本章では、瞑想を習慣化するための3つのコツを紹介します。
- 無理なく続けるための習慣化の仕方
- アプリ・音楽・タイマーの効果的な使い方
- 自分を責めずにゆるく続けるための考え方
無理なく続けるための習慣化の仕方
毎日同じ時刻にマインドフルネス瞑想を始めると、簡単に習慣化できます。
仕事や家事の都合でどうしても同時刻に始められない場合は、「入浴後すぐ」のようにイベントで合わせましょう。
なお、最初から長時間を目標にせず、1~2分から始めて徐々に時間を延ばすと無理なく続けられます。
また、マインドフルネス瞑想を行った日は、手帳やカレンダーに印を付けて可視化すると励みになります。
アプリ・音楽・タイマーの効果的な使い方
マインドフルネス瞑想に、必ずしも道具は必要ありません。
しかし、道具をうまく使えば、実践するのが楽になります。
マインドフルネス瞑想用のスマホアプリ
多くの瞑想用アプリは、音声で次に何をするか教えてくれます。
音声ガイドのままに行動したり意識を移したりしていけば、自然に深い瞑想状態に入れます。
動画サイトやCD
ゆったりした曲や環境音を流すと、リラックス効果が高まります。
色々試してみて、自分が最も瞑想に集中できる音を探しましょう。
タイマー
時間を気にしながらだと、なかなか瞑想に集中できません。
タイマーで終わり時間を設定すれば、呼吸や身体感覚に意識を向けられます。
自分を責めずにゆるく続けるための考え方
完璧主義は継続の敵です。
計画通りに実行できなかった日があると自分を責めてしまい、つらくなって続けられなくなりがちだからです。
「毎日続けねばならない」ではなく、
「毎日続ける方がいい」程度に考えましょう。
できなかった日や、予定していた時間続けられなかった日があってもまったく問題ありません。
翌日から再開すれば十分です。
まとめ
マインドフルネス瞑想を行って、心と体のリラクゼーション・ストレス反応の緩和・集中と睡眠の質の向上を実感する人がたくさんいます。
簡単に実践できるので、本記事を参考にあなたもぜひ体験してください。
最初から長時間の瞑想を目指さず、まずは短時間から始めてみましょう。
また、何かをしながらの瞑想も十分効果を発揮します。
マインドフルネス瞑想の習慣によって、あなたの生活が潤いに満ちたものとなりますように。
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参考文献
マインドフルネス瞑想とその効果に関する調査・研究資料
- Jon Kabat-Zinn. ”Wherever You Go, There You Are.” 1994
- Goyal M. et al. “Meditation programs for psychological stress and well-being.” JAMA Internal Medicine. 2014
- Khoury B. et al. “Mindfulness-based therapy: A comprehensive meta-analysis.” Journal of Psychosomatic Research. 2015
- Tang Y.Y. et al. “The neuroscience of mindfulness meditation.” Nature Reviews Neuroscience. 2015
- Ong J.C. et al. “Mindfulness meditation for insomnia.” Sleep. 2014
- Taylor V.A. et al. “Impact of mindfulness on heart rate variability.” Psychosomatic Medicine. 2010
(タイトルと参考文献を除く文字数:4587字)


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