無意識を味方に付ければダイエットも成功する

スクールソーシャルワーカーだより スクールソーシャルワーカーだより

2012年1月号

無意識を味方に付けることができれば、いろいろな場面で成功しやすくなります。

年末年始に食べ過ぎてしまって、そろそろダイエットを考えていらっしゃる方もおいでかもしれませんね。今日は、それに役立つかもしれないお話から始めてみましょう。

太めの脚との因縁対決

残念ながら日本では絶版になってしまったようですが、心理学者シェリー・カーター・スコット著「小さなことから自分が変わる」(三笠書房)という本の中で、シェリーさんは「自分も多くの女性と同じように、自分の脚の太さにコンプレックスを持っていた」と告白しています。

太い脚を人目にさらすのが嫌で、真夏でも長ズボンをはいていました。太い足を自分で見るのもいやなので、お風呂上がりにはすぐにバスタオルで脚を覆って見えなくしてしまっていました。「もっと細くなればいいのに」と思うだけでなく、「もうこんな太い足とは縁を切りたい」と思い、憎しみさえ抱いていました。

ところが、脚を引き締めようと様々な努力をしても、脚はシェリーさんの要求を受け入れず、一向に引き締まってくれません。シェリーさんが脚の方を嫌っているので、脚の方でも彼女に嫌がらせをするかのようです。こうして、シェリーさんと太い足との因縁対決は延々と続きました。

しかし、あるときシェリーさんはこの不毛な戦いを終わらせることにしました。脚に自分の理想像を押しつけて、理想通りでないからダメだと評価し、嫌うのをやめて、まずはそのままの脚を受け入れ、大切に扱うことに決めたのです。毎日バニラ・ローションをすり込みながら、「私はあなたたちを受け入れます」とメッセージを送りました。

最初は自分でもばかばかしいことをしていると思ったそうですが、それでも続けているうちに、だんだんと自分の脚に感謝すら覚えるようになりました。だって、この頼りがいのある脚のおかげで、毎日5キロのジョギングを楽しむことだってできるのですから。こうして、自分の脚を大切にするようになったら、脚の方も嫌がらせをやめて、だんだんと引き締まってきたそうです。

無意識のブレーキとアクセル

シェリーさんの身に起こったことを解説しましょう。人間の心には、自分で「今こんなふうに考えている」「こんなふうに感じている」と意識できる部分(顕在意識)と、本当は考えたり感じたりしているのに自覚できない部分(無意識、または潜在意識)があります。

シェリーさんは、「自分は足が太いからダメだ。細くなったら素敵な女性になれるのに」と思い、だから足が細くなることを願い、努力しました。ところが、人間の無意識は「現在進行形のこと」しか理解できません。ですから「細くなったら」という、現在はまだ実現していない未来の出来事についてのメッセージは入らず、「私は足が太くてダメな女性だ」という現状について表現したメッセージだけが入ります。そして、それによってすっかり洗脳されてしまいます。

そして、洗脳された無意識は、今度は「私は足が太くてダメな女性だ」という自己像に矛盾しないように、私たちの行動や生理機能をコントロールします。ですから、いくら意識で脚を細くしようと努力しても、脚は言うことを聞かずに、いつまでも太いままでいたのです。

しかし、シェリーさんは、たとえ太くても自分の脚をそのままで大切にし始めました。それは、自分に向かって「足が太くても細くても、とにかく私は素敵な女性だ」というメッセージを自分に送ることです。そして、だんだんとそのメッセージに無意識が逆洗脳されていき、その自己像にふさわしいように、行動や生理機能が整えられます。ですから、脚も細くなっていったのです。

プラスからプラスの努力

何かに向かって努力するときには、意識で決意し、意識でがんばるだけでなく、それを背後から支えてくれる無意識を味方に付けることが大切です。そのためには、「嫌いだから自分を変える」という「マイナスからプラス」の発想で努力するのではなく、「素敵な自分だから、もっと素敵になれる」という、「プラスからプラス」の発想で努力することが大切です。

そして、お子さんなど、他の人への励ましも「ダメだからがんばれ」ではなく、「あなたはすでにこんなふうに素晴らしい。だから、ここをこうするともっと素晴らしくなれるよ」というプラスからプラスの励ましになるといいですね。

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