2011年月9号
「言い訳」は良くないもの。今回はそんな常識を覆すお話です。
5月号ではスケジュールを立てる際の注意点、6月号と7月号では目標の作り方について紹介しました。
かく言う私は元来ぐうたらな性格なので、いろんな目標を立てても文字通り3日坊主に終わってしまうことが少なくありませんでした。ところが、いくつかのコツを覚えたところ、以前ほど中途で脱落することが少なくなってきました。
今回は、そのコツの一つについて、ご一緒に考えてみましょう。それは「言い訳をする」という方法です。
言い訳していいわけ?
「え?」と思われた方も多いと思います。普通は「言い訳するな」と教えられますよね。
私のかつての同僚で、国籍は日本なのですがアメリカで育った方がいます。ある時、彼がこう尋ねてきました。
どうして言い訳してはいけないんだ?
アメリカでは何かミスや問題が起きたときには、
- どうしてそういうことをしたのか、どうしてできなかったのかということをきちんと言葉で説明できなければならない。
- そして、そのミスをどのようにカバーするか、今後はどのような行動をするつもりなのかを説明しなければならない。
- そうでなければ謝罪にならない。
そんなふうに教えられるし、訓練されるといいます。そんな訓練を受けてきた彼にとって、失敗した人が言い訳するのはいけないどころか義務だという考えなのです。
良い言い訳、悪い言い訳
実は、言い訳には、良い言い訳と悪い言い訳があります。
- 悪い言い訳はその場限りの言い放しで、その後何もしないものです。
- 良い言い訳はそれを次の行動につなげていくことができるものです。
まずは目標を立てます。できればよし。できなければ、ここで言い訳をします。どうしてできないのか。
そして次に、ここが重要なポイントですが、「その言い訳が成り立たなくなるような対策」を考えて計画します。その計画も実行できないなら、また言い訳して対策を考えます。
こうして、次々と言い訳しながら対策を考え、「これだったら実行できそうだ」というところまで目標を下げていくのです。そして、そのできるところから始めて一つ一つ実行していきます。その結果、最終目標に手が届くようになります。
きんぴらゴボウを作る
以前、「生き生きした人生を歩みたい」とおっしゃる方とお話ししました。具体的にうかがうと、子育ても一段落したし、外で福祉の仕事をしてみたい、できれば指導者となって若い人たちを育成していきたいと。これがこの方の最終目標です。
しかし、片付けが苦手で台所がぐちゃぐちゃなので、亭主関白のご主人が賛成してくれないだろうとおっしゃいます。そこで、「言い訳法」を使って対策を一緒に考えてみました。
後でまとめて片付けようとしないで、料理の合間に洗ったり片付けたりすればいい。
夫が6時に帰ってきて、すぐに料理が出てこないと不機嫌になる。
急いで作らないといけないので、料理しながら片付ける余裕がない。
帰り時間が分かっているのだから、早めに準備を始めればいい。
とにかく夫は味にうるさいし、冷蔵庫の中のものを無駄にすると叱られる。
何を作ろうかと悩んでいるうちに、どんどん6時近くになってしまう。
前の日にあらかじめ献立を考えておけばいい。
そうすれば計画的に買い物ができて、冷蔵庫の中のものも無駄にならない。
前の日に考えても、結局献立が思いつかなくて、寝る時間になってしまう。
考えずに決められるよう、過去ご主人に評判が良かったメニューをカードに書き出す。
そして、それを適当にシャッフルして2,3週間分の献立を作ってしまう。
ここまで来たとき、この奥さま、顔をぱっと輝かせて「これならできます。万が一困ったときは、焼き肉ときんぴらゴボウを出しとけば機嫌がいいですから」とお笑いになりました。
この方の最終目標は、生き生きとした人生を生きることです。その秘訣は、きんぴらゴボウを作ること。では、あなたのきんぴらゴボウは何ですか?
あえて言い訳をさせてみる
お子さんが何か不都合なことをしてしまったとき、やらなければならないことをやらなかったときには、あえて言い訳させてみるのも一つの方法です。自発的に言い訳をしたときにも、「言い訳するな」と叱るのではなく、いったん「なるほど」と受け止めます。
そして、「じゃあ、今度はそうならないようにするにはどうしたらいいかな?」と、その言い訳が使えなくなるような対策を考えさせるといくわけです。上質な「言い訳力」を育ててあげましょう。
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