子どものやる気を引き出す「3つのスイッチ」

スクールソーシャルワーカーだより スクールソーシャルワーカーだより

2026年10月号

「宿題、やったの?」「早く練習しなさい」「いつまでゲームしているの!」 言いたくないのに、今日も同じことを言ってしまった……。そんな経験はありませんか? 子どもが自分から勉強や部活動に取り組んでくれたら、親も先生もずいぶん楽になります。しかし、「やる気を出しなさい!」と言ってやる気が出るなら、苦労はありません。

実は、子どものやる気を引き出すために大切なのは、大人が後ろから強く押すことではありません。子ども自身が「やってみよう」と思える条件を整えることです。今回は、家庭でも学校でも実践しやすい「子どものやる気を引き出す3つのスイッチ」を紹介します。

やる気を引き出す工夫

【スイッチ1】「できそう」と思わせる

目の前に、とても大きな岩があったとします。「これを動かしてください」と言われても、やる気は起きませんね? 「どうせ無理」と思うからです。「漢字を20個覚えなさい。」「問題集を10ページやりなさい。」 もし本人にとってハードルが高すぎれば、始める前から嫌になります。

そんなときは、課題を小さくしてみましょう。

「まず漢字を3個覚えてみよう。」「最初の1問だけ一緒にやってみよう。」 そして、できたら「3個覚えられたね。」「さっき分からなかった問題が解けたね。」と、できたことを具体的に伝えます。

小さな「できた」が積み重なると、「自分にもできそう」という感覚が育ちます。この感覚が次の行動へのエネルギーになるのです。

【スイッチ2】「自分で決めた」と思わせる

私たち大人だって、「今すぐこれをやれ」と一方的に命令されると、ちょっとやる気がなくなります。そこで、すべてを自由にさせるのではなく、できる範囲で本人に選ばせてみましょう。

たとえば、「宿題は4時からやる? それとも夕食前にする?」「国語と算数、どっちから始める?」「部屋の片づけ、机と本棚のどちらからやる?」 どちらを選んでも、大人が望んでいる行動にはつながります。しかし、子どもには「自分で選んだ」という感覚が残ります。

以前、このおたよりで「ジャムの法則」を紹介しました。選択肢は多すぎても選びにくくなります。ですから、二つか三つ程度の選択肢を示し、その中から本人に選んでもらうのがおすすめです。

【スイッチ3】「何のため?」が分かるようにする

人は、意味が分からないことを続けるのが苦手です。ですから、「なぜそれをするのか」を子どもと一緒に考えてみましょう。

「英語が分かるようになったら、何をしてみたい?」「サッカーがもっと上手になったら、どんなプレーをしたい?」「この勉強は、あなたのやりたいこととどうつながるかな?」

すぐに立派な答えが出なくてもかまいません。大切なのは、大人が決めた目的を押しつけるのではなく、子ども自身が「自分にとってどんな意味があるのだろう」と考えることです。

「やる気がない」と決めつける前に

もう一つ、大切なことがあります。子どもが動かないと、私たちはつい「やる気がない」「怠けている」と考えてしまいます。しかし、実際には、「やり方が分からない」「失敗するのが怖い」「疲れている」「友人関係で悩んでいる」「課題が難しすぎる」など、別の理由が隠れているかもしれません。

「やる気がない子」と決めつけてしまうと、叱ることしかできなくなります。「何か理由があるのかもしれない」と考えれば、できる支援が増えてくるのではないでしょうか。

大人が子どものやる気を作ることはできません。しかし、子どもの中にあるやる気が芽を出しやすい環境を作ることはできます。水をやったからといって、芽を引っ張って伸ばす必要はありません。子ども自身が伸びていく力を信じながら、私たちはその土を耕していきたいですね。

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