公表効果の子育てへの活用

スクールソーシャルワーカーだより スクールソーシャルワーカーだより

2024年12月号

間もなく2024年も終わり、新しい年が始まろうとしています。新年を迎えると、大人も子どもも一年の目標を立てるかと思います。その目標が立てっぱなしに終わらず、確実に達成されるためにはどうしたらいいのでしょうか。今回はそのヒントとして、「公表効果」についてお話しします。

公表効果とは

公表効果とは、「自分の目標を他人に伝えることで、目標が達成されやすい」という現象のことです。たとえば一人でこっそりダイエットに挑戦するよりも、家族や友だちにこれからダイエットするつもりだということや、体重の目標値、期限を公言する方が、減量に成功しやすいということです。

これは、「他の人の前で宣言までしたんだから、必ず達成すべきだ」という責任感が働くためです。また、周囲の人が応援してくれるようになることで、やる気が持続します。

公表効果を子どもの成長に生かす方法

公表効果を子育てに活用するには、子どもと大人が目標を共有することが有効です。たとえば次のような取り組みはいかがでしょうか。

目標を書き出して掲示する

目標を紙に書き出し、冷蔵庫やリビングなど共有スペースに掲示します。もちろん、子どもだけにやらせるのでなく、大人も一緒に実践した方がより効果的です。

なお、あまりハードルの高い目標だと、「どうせ無理だ」と無意識にブレーキがかかってしまいます。最終目標はどんなに高くてもかまいませんが、それを達成するまでの道筋を考えて、下位目標を階段状に構成しましょう(目標1→目標2→目標3→最終目標、のように)。そして、「ちょっとがんばれば達成できそうな最下位の目標」から取り組みます。

最終目標と現在の状態
最終目標と現在の状態

週に一度、目標の振り返りを行う

日曜日など家族が集まる時間に、1週間の目標達成状況を振り返る場を設けます。このとき、子どものがんばりを十分認めましょう。

公表効果活用上の注意点

過度な負担を与えない

公表効果を活用する際は、子どもに過度なプレッシャーを与えないようにしましょう。負担感が大きいと、子どもは無意識にその目標から逃げるようになってしまいます。

そこで、大人が一方的に目標を押し付けるのではなく、子ども自身が「やってみたい」「ぜひ達成したい」と思うことを一緒に探しましょう。

失敗を責めない

目標が達成できなかった場合も、失敗を責めず、努力の過程を認める言葉をかけてください。たとえば、「今週は、最後の3日はできなかったけれど、最初の4日間や先週はよくがんばったよね」のように。それにより、子どもからやる気が引き出されます。

バックナンバー一覧へ   トップページへ

コメント コメントありがとうございます!

タイトルとURLをコピーしました