心の健康に良い食事の栄養素と食材

スクールソーシャルワーカーだより スクールソーシャルワーカーだより

2025年2月号

現代は、子どもも大人も、ストレスや緊張感の多い日常を送っています。子どもたちが精神的に追い詰められるのを防ぐ一方で、私たち大人の心の健康メンタルヘルス)にも意識を向ける必要があります。イライラや不安感などを抱えたまま子どもに向き合うと、キツい物言いになったり、子どもからのSOSサインを見落としてしまったり、的外れな対応をしてしまったりするからです。

今回は、心の健康を支えるために必要な要素の一つである、適切な食事に注目します。メンタルヘルスに効果的な栄養素やそれを含む食材は何でしょうか?

メンタルヘルスと栄養素の関係

心の健康は脳神経のネットワークと深く結びついています。脳神経は、さまざまな神経伝達物質を分泌することで情報をやり取りしており、このバランスが崩れると思考や感情が否定的になったり、やる気や活力が失われたり、集中力が続かなかったり、イライラが止まらなかったりします。

脳神経の働きを整えてメンタルヘルスを向上させるには、以下のような栄養素をしっかり摂る必要があります。もちろん偏りは良くありませんので、炭水化物、タンパク質、脂肪を含めてバランス良く摂取しましょう。

(1) オメガ3脂肪酸

DHA、EPA、ALAなどのオメガ3脂肪酸は、神経伝達物質の働きを促進して、感情の安定や集中力の向上に役立つとされています。魚(特にサバ、イワシなどの青魚やサケ)やクルミ、亜麻仁油に多く含まれています。

(2) ビタミンB群

ビタミンB群(特にビタミンB6やB12)は、ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンといった、気分や活力に関係する神経伝達物質の合成に必須の栄養素です。豚肉や卵、大豆製品、バナナに多く含まれています。

(3) トリプトファン

トリプトファンは、「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンの生成に必要なアミノ酸です。鶏肉、牛乳、チーズ、大豆製品などに多く含まれています。寝る前のホットミルクは、リラックス効果もあるのでおすすめです。

(4) マグネシウム

マグネシウムは神経伝達物質のバランス安定の他、ストレスホルモン(コルチゾール)の生成を抑えてくれます。海藻、アーモンド、ほうれん草、ひじきなどに多く含まれます。

ちょっとした食事の工夫でメンタルヘルス

栄養素を意識しながら食事を用意することは、忙しい毎日を送る皆さんにとって簡単ではないかもしれません。しかし、少しの工夫で取り入れやすくなります。

(1) 朝食に上記の栄養素を取り入れる

朝食は、午前中に必要なエネルギーを脳に供給してくれますから、抜かないようにしましょう。サバの味噌煮を朝食に加えたり、バナナとヨーグルトを組み合わせたりするだけで、オメガ3脂肪酸やトリプトファンを手軽に摂取できます。

(2) おやつや軽食を工夫する

おやつにアーモンドやクルミを使ったおかしを食べることで、マグネシウムやオメガ3脂肪酸を摂ることができます。また、チーズや茹で卵は、忙しい時でも簡単に摂れる栄養満点のスナックです。

(3) 家族で楽しむ「栄養プラスワン」習慣

普段の食事に栄養素を「プラスワン」する意識を持つと、楽しく取り入れられます。たとえば、みそ汁に海藻を加えたり、サラダにナッツをトッピングしたりするだけでも効果があります。日々のメニューにどうやって上記の栄養素を加えられるか、家族みんなで知恵を出し合うようにすると、子どもたちも食事の内容に興味を持つきっかけになるでしょう。

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