2024年1月号
「ヒス構文」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。2023年のJC・JK流行語大賞コトバ部門で2位に選ばれた言葉です(ちなみに1位は「ひき肉です」で、3位は「なぁぜなぁぜ」)。今回はいったいヒス構文とは何なのかを解説します。そして、私たち自身がこれを使っていないか振り返るきっかけにすると共に、対策を紹介したいと思います。
ヒス構文とは
「ヒス構文」という言葉は、お笑いコンビ「ラランド」が自分たちのYouTubeチャンネル上で行なっているネタから取られたと言われています。ラランドのサーヤさんによると、ヒス構文とは「論理を飛躍させたり論点をすり替えたりし、ヒステリックな語気を伴うことで相手に罪責感を抱かせる構文(文の形式、組み立て)」のことです。
動画では母親が使いがちな構文として取り上げられていますが、ヒス構文は性別や立場に関係なく家庭や学校や職場や議会などで使われています。以下、5つのタイプ別に例を挙げてみます。かなり極端な表現ですが、一度は聞いたことがあるような言い回しではないでしょうか。
論理飛躍型
相手の発言を拡大解釈し、論理を飛躍させることで相手を追い詰めます。たとえば、
(外食に向かう際、子に向かって)
ギリギリまで勉強がんばったね
俺が無理矢理連れ出したって言いたいのか!?
じゃあ、今すぐ帰ろう。そして勉強の続きをさせろ!
論点すり替え型
今話している事柄とは別の話を持ってきて、相手より優位に立とうとします。たとえば、
外で遊んでいる子どもの声がうるさいなぁ
あんたが集中していないからでしょ。
だから成績が伸びないんじゃないの?
あんた今、お母さんのこともうるさいって思っているでしょ?
自己否定型
過剰に自分を卑下することによって、相手から「そんなことないよ」という励ましの言葉を引き出そうとします。たとえば、
お姉ちゃん、バナナ分けて
私はバナナも食べちゃいけないんだ。そうだよね、太ってるもんね
大胆結論型
突飛な結論や解決法を提示して、無理矢理話し合いを終了させようとします。たとえば、
お母さん、キンキンした声で怒鳴るのやめて
はぁ? あんたのために死ねばいいの?
それとも性転換しろっての?
大量連射型
大量の言葉を投げかけて、相手に返答する隙を与えないようにします。たとえば、
(友だちと言い争っているとき、別の友だちに仲裁されると)
人間だからケンカすることもあるんだけど、分かんないんだね。
人間だからね人間。
人間って分かる?
人間についてどう思ってんの?
ねぇ、早く答えて!
ヒス構文の心理:被害妄想と自己防衛
ヒス構文の背後には、「自分は相手から攻撃された」「価値を否定された」「どうでもいいと思われた」というような被害妄想があります。そして、自己防衛のために相手を攻撃したり話し合いを拒否したりするのです。
ヒス構文への対処法
ですから、自分はヒス構文を使いがちだなと思われた方は、自分が周りの人たちから大切にされているのだという証拠を探してみましょう。意識して探せば必ずたくさん見つかるはずです。そして、「あなたは大切にされているよ。あなたはそれだけの価値ある存在だよ」といつも自分自身に言い聞かせましょう。
またヒス構文を使いがちな人に対しては、意識してねぎらったり感謝を表したりして、こちらがその人のことを大切に思っているということを積極的に伝えるようにするといいでしょう。
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