強い心・強いメンタルを育む関わり

スクールソーシャルワーカーだより スクールソーシャルワーカーだより

2022年4月号

強い心強いメンタルの育て方」というテーマで、とある高校の生徒たちに講演をすることになりました。ところが私自身は豆腐のような貧弱メンタル。そこで、まずは自分自身のためにいろいろと調べてみました。

強い心とは

そもそも強い心とは一体何なのでしょうか。皆さんはメンタルの強い人というと、どんな人をイメージしますか? たとえば、

  • 野球の大谷翔平選手や将棋の藤井聡太さんのような一流の競技者。
  • いわれのない中傷を浴びても、めげることなく一生懸命演技や歌を見せてくれる芸能人。
  • いつ終わるともしれない実験や調査を、コツコツと何十年も続けてきたノーベル賞受賞者。
  • 同じフレーズを何十分もひたすら繰り返し練習するプロの演奏家。
  • 断られても断られても、それでもあきらめずに営業に出かけていくセールスマン。

結局、心が強い人・メンタルが強い人とは、「自分の感情を自分自身で上手に扱える人」のことだと私は考えます。以前、お笑い芸人のみやぞんさんが「自分の機嫌は自分で取る」とおっしゃいましたが、それと似ていますね。

すなわち強い心・強いメンタルというのは、たとえば次のような力のことです。

  • きつい練習が嫌になっても、それでも自分の背中を押して続ける力。
  • 退屈だなと感じても、それでもやらなければならない勉強を続けるよう自分を勇気づける力。
  • むしゃくしゃするようなことが起こっても、相手に暴力を振るったり、別の人に八つ当たりしたりせず自分で怒りを鎮められる力。
  • 思い通りに物事が進まなくて、もう何もかも嫌になりそうになっても、自分で自分に希望を与えてやる気を引き出す力。
  • 先のことが不安で身動きが取れなくなりそうでも、自分で自分を落ち着かせ、大丈夫だという証拠を見つけて自分の背中を押す力。

一流と呼ばれる人たちは、そういう力を確かに持っています。そういう力を持っているから一流になれたとも言えますね。

皆さんのお子さんも、すでにそういう力を順調に育んでいることでしょう。しかし、もっともっと心が強くなっていったら、今の人間関係、学習、部活動などで良い結果を得られるばかりでなく、将来もしっかりと自立し、人生のさまざまな場面で成功したり、人に好かれたり、肯定的な感情に満たされたりしながら生きられることでしょう。

どうやって子どもの強い心を育てるか

では、どうやったら子どもの心を強くしていくことができるのでしょうか。それは、「周りの大人たちから気持ちを上手に扱ってもらう」体験を積み重ねることが必要です。たとえば、

  • うまくやれているときもやれていないときも、いつも「大好きだよ」「大切だよ」と言われたり、ぎゅっと抱きしめられたりすることで励まされる体験。
  • 怒りや悲しみや不安などの否定的な感情を抱いたときに、じっくりと話に耳を傾けてもらい、そして「つらかったね」と共感してもらうことで、嫌な感情が鎮められる体験。
  • 小さな努力や工夫を認められて、自分は何だかできそうな気がすると思わせてもらえる体験。

そのような体験を繰り返し味わうと、どうして強い心が育つのでしょうか。それは、子どもたちは自分に対してうれしい接し方をしてくれる皆さんのことを、だんだんとモデルとして自分の中に取り入れ、自分で自分の感情を上手に扱うことができるようになるからです。

お子さんの行動だけでなく気持ちにも意識を向けて、肯定的な接し方を心がけてみてください。

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