リフレーミング その1

スクールソーシャルワーカーだより スクールソーシャルワーカーだより

2017年4月号

今回と次回は、「リフレーミング」についてお話しします。私たちがものの見方を変え、それを口に出して表現することで、子どもたちは励まされます。それだけでなく、私たち自身の精神状態も安定します。

息子がメソメソするんです

知り合いのお母さんから相談を受けました。

以下の相談内容は個人が特定できない形に加工してあります。

息子さんが学校外のスポーツクラブに通っていて、そこのコーチに厳しく指導されたらしく、帰ってきてからずっとメソメソしているというのです。

お母さんとしては、コーチが厳しい指導をしたこと自体に問題を感じているのではなく、普段から打たれ弱く、叱られるとすぐにメソメソする息子に、これからどんなふうに接したらいいかというご相談です。そこで、4つのことを申し上げました。

(1) 気持ちに焦点を合わせて共感する

叱られたときの状況や叱られたときの息子さんの気持ちをよく聴いてやり、「叱られてつらかったね」「悔しかったね」と、その気持ちに共感するような語りかけをしてやりましょう。

「それくらいのことでメソメソするなんて」と叱咤するのは、「お前は弱虫だ」と宣言するのと同じです。それではかえって自信を削り取ることになり、逆効果です。

(2) 子どもの前でコーチの批判をしない

仮にコーチの指導に疑問を感じた場合の注意点です。

疑問を直接コーチに伝えるのはいいですが、息子さんの前で「そんなことを言うなんて、ひどいコーチだ」と批判しない方がいいです。

というのは、そのコーチの尋常な指導にも従わなくなりますし、他の権威者、たとえば親や学校の先生たちの指導にも従わなくなる恐れがあるからです。

(3) メソメソは良いことだと思う

そもそも、息子さんがメソメソするのは良いことだと考えてみましょう。

以前の息子さんは、つらいことがあったときに、親や弟たちに八つ当たりをしたり、ものを壊して発散したりしていました。今回それをしないで、自分のつらい気持ちを自分でしっかり味わうことができているというのは、大変な成長です。むしろ彼が強くなった証拠です。

ですから、ぜひその点を指摘して、息子さんをほめて差し上げてください。

(4) 叱ってくれたのは可能性があるからだと伝える

上述のようにほめた上で、コーチが叱った意図について説明しましょう。

コーチが叱ったのは、息子さんが嫌いだからでも、下手だからでもなく、息子さんの実力を認め、スポーツの面でも人格的な面でも、もっと成長できると信じてくれているからです。

それを教えて、「お母さんも、あなたがつらい練習や指導を乗り越えて、もっともっと成長できると信じているよ」と確信を持って伝えてあげましょう。

見方を変える

(3)と(4) のように、自分や相手の捉え方、ものの見方、考え方、解釈の仕方を変えることを「リフレーミング」と呼びます。「これはひどい」「これはダメだ」と思えるような状況でも、見方を変えてみると喜びの種、感動の種、希望の種に満ちていることが分かります。

今回お話ししたお母さんも、特に(3)のリフレーミングによって、息子さんのことを頼もしく思えるようになったとおっしゃいました。「このままでは、この子の将来は大変なことになるかも」という不安感で一杯だったのに、「この子の将来、楽しみ」というわくわくするような気持ちになったのですね。

リフレーミングは、息子さんを励ましただけでなく、お母さん自身の精神状態も安定させました。

リフレーミング・ゲーム

リフレーミングは、練習次第で誰でもできるようになります。コツは、理由は分からなくていいので、とりあえず「これは素晴らしいことだ」と口に出したり、紙の上に書き出したりしてみること。その上で「なぜ素晴らしいんだろうか」と、後からすばらしい理由を考えます。

この順番が大事です。

ひぜゲーム感覚で続けてみてください。きっと、あなたもお子さんも、もっともっとハッピーで、希望に満ちた生活が送れるようになります。

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