2012年2月号
前回申し上げましたが、意識で決意してがんばるだけでなく無意識を味方に付けることができたなら、勉強にせよ、スポーツにせよ、ダイエットや仕事にせよ、効果が上がります。無意識の世界と意識の世界は、通常は混乱を避けるために簡単には行き来できないようになっています。
では、その障壁を突破して無意識にアクセスして味方に付けるにはどうしたらいいのでしょうか。
無意識の性質
催眠など特殊な方法を使わないで無意識の世界に影響を与えられるのは、概ね次の2つの場合です。
- ものすごく衝撃的な体験をした場合
- その体験自体の衝撃度は小さくても、頻繁に、繰り返し体験した場合
衝撃的な体験をした例
たとえば「信じていた人からひどい裏切りを受けた」というような場合です。こういう体験をした人は、もしかしたら無意識に「人は信じてはいけない」と決心するかもしれません。
そうすると、意識では「この仕事は一人でやるのは大変だから、誰かに助けてもらえるとうれしいのに」と思っていながら、「助けてください」と人に頼ることができないかもしれません。
繰り返し体験した例
小さいときから「あなたは本当にグズねえ。もっと速く行動しなさい」と言われ続けたというような場合です。すなわち、「あなたはグズ」というメッセージを、繰り返し繰り返し聞かされるわけです。すると、その人の無意識は「私はグズ」と思い込みます。
無意識は、いったんできあがった自己像(セルフイメージ)に矛盾しないような行動を引き起こそうとします。ですから、グズという無意識の自己像を持ってしまうと、グズにふさわしい行動を取ります。すなわち、ますます行動が遅くなってしまうわけです。
どんなメッセージを送っていますか?
皆さんは、ご自分やお子さんに対して、どんなメッセージを繰り返し送っていますか? 特にご自分に対して。仕事や人間関係で問題にぶつかったとき、どんな言葉を自分に向かってつぶやいているでしょうか。
- 「どうしていつもこんなことばかり起こるんだろうか。俺って、運が悪い」
- 「私って、ばかだなあ」
- 「ああ、どうせ私には無理!」
- 「このまま、どんどん状況が悪くなっていって、きっと生活していけなくなる」
- 「どうせ世の中、上手くいかないことばかり起こる」
- 「みんな私のことを嫌いになるだろう」
- 「私は嫌われ者だから、誰も手伝ってはくれない」
- 「僕の周りの人間は薄情者ばかりだから、誰も助けてはくれない」
そんなふうに、自分や他人や世界について否定的な言葉をつぶやいてはいなかったでしょうか。たとえ口に出さなくても、頭の中でそんなふうにつぶやいてはこなかったでしょうか。
否定的な言葉は、繰り返されると、無意識を否定的な思い込みで満たしていきます。そして、無意識が否定的な世界を実現するために一生懸命になるので、本当は問題を解決したり、状況を好転させたりできる可能性がたくさんあるのに、結果として状況が悪い方に悪い方に傾いていきます。
他の人に対する前向きな言葉かけ
自分に向かって前向きな言葉かけができる人は、他の人に対しても前向きな言葉を使うことができます。無意識が前向きモードになっているからです。
まずは、自分の否定的な心のつぶやきに気がつきましょう。そして、前向きな言葉に修正していきましょう。次回は、自分に対する前向きな言葉かけ(アファメーション)の作り方についてお話しする予定です。
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