学習や生活に影響する水分補給

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2025年3月号

お子さんが授業中に集中できない、忘れ物が増えた、イライラしやすくなったと感じたことはありませんか? もしかしたら「水分不足」が関係しているかもしれません。実は、わずかな脱水状態でも集中力や記憶力に影響を与えることが分かっています。今回は、水分補給が学習や生活に与える影響と、家庭や学校で実践できる効果的な水分補給の方法についてご紹介します。

水分不足が心や体に与える影響

私たちの体の約60%、脳の約75%は水分でできています。このため、水分が不足すると脳の働きが低下し、注意力や思考力が落ちることがさまざまな研究によって確かめられています。

特に、子どもは大人よりも体内の水分割合が多く代謝も活発なため、水分不足の影響を受けやすいと言われています。体内の水分が1%減少した程度のごく軽い脱水状態でも、以下のような影響が現れることがあります。

  • 注意力・集中力の低下:授業中にボーっとする、話を聞き逃すことが増える
  • 記憶力の低下:学習内容やスケジュールを憶えたり思い出したりしにくくなる
  • 気分の不安定化:イライラしたり、落ち込んだり、不安になったりしやすくなる
  • 身体の不調:頭痛、めまい、しびれ、便秘が起こったり、疲れやすくなったりする

逆に十分な水分補給を行なうことで、学習効率や学校生活の質が向上すると考えられます。

効果的な水分補給の方法

では、子どもたちにどのように水分補給するよう促せばよいのでしょうか。家庭や学校で取り組む際のポイントを紹介します。

(1) こまめに水を飲む習慣をつける

喉の渇きを覚えたときにはすでに脱水が始まっています。喉が渇く前にこまめに水分を補給することが大切です。特に、以下のタイミングで水を飲むことを意識すると良いでしょう。

  • 朝起きたとき
  • 食事時
  • 学校での休み時間や昼休み
  • 運動前後
  • 入浴前後

なお、一度に大量に飲むより、こまめに少量ずつ飲んだ方が効果的です。

(2) 水筒を持たせる

普段からお子さんに水筒を持たせることをおすすめします。中身は、水や麦茶などノンカフェインの飲み物が適しています。なお、スポーツドリンクは糖分が多いため、過度な摂取は厳禁です。

(3) 食事からの水分補給を意識する

食事からも水分を摂取することができます。栄養のバランスを考えながら、水分の摂取量を増やす工夫をすると良いでしょう。特に以下の食品は水分が豊富で、栄養も摂れるためおすすめです。

  • 野菜(キュウリ、トマト、レタスなど)
  • 果物(スイカ、みかん、リンゴなど)
  • スープや味噌汁

(4) 水分補給の大切さを伝える

家庭や学校で「水分補給の大切さ」を伝えることも重要です。特に幼児や低学年の子どもは、自分で意識して水を飲むことが難しいため、大人が声かけをして促しましょう。

たとえば、「勉強の前に一口お水を飲もうね」「遊んだ後は、水分補給をしよう!」といった声かけをすることで、水分補給の習慣が身につきます。

まとめ

水分補給は、子どもの集中力や学習効率を高めるために欠かせません。わずかな脱水でも脳の働きに影響を与えるため、こまめに水を飲む習慣をつけることが大切です。家庭や学校での工夫を通じて、お子さんが自然に水分補給を意識できる環境を整えていきましょう。もちろん、保護者・教職員の皆さんも十分な水分補給を心がけてください。

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