2012年3月号
アファメーション(affirmation)をご存じですか?
スポーツの試合前や最中に、選手が手のひらを胸に当てながらぶつぶつ何かをつぶやいたり、コーチと顔を見合わせながら大声で何かを叫んだりしているシーンを見たことがありませんか?
あれは、自分に対して前向きな言葉を語りかけることで、自分の無意識の中に眠っている潜在力を引き出し、本番で良いパフォーマンスを上げようとしているのです。
こういう自分に対する前向きな語りかけは「アファメーション」と言い、スポーツだけでなく、勉強やビジネスや芸術や人間関係、さらには心身の病気の治療など、様々な場面で応用されています。今回は、アファメーションの作り方についてお話しします。
アファメーションとは
無意識は、イメージされたことと現実に起こっていることの区別ができません。ですから、肯定的な行動パターンをイメージしていると、無意識がその実現を助ける方向に働き始めます(これを応用したのが、イメージトレーニングです)。
そして、私たちが繰り返し聞く言葉は、イメージを生み出したり、それを強化したりする力を持っています。そこで、肯定的なイメージを生み出すような言葉を、繰り返し自分自身に語りかけることによって、肯定的な行動パターンへと導こうというのが、アファメーションです。たとえば……
- 私は、ストレスに上手に対処していて、いつも元気です。
- 私は、残念なことが起こっても、前向きに対処して乗り越えられます。
- 私は、人と一緒にいるとき、オープンで気持ちのよい会話を楽しむことができます。
- 私は、まわりのみんなにとても理解されています。
- 私は、必要な目標をいつも立てることができ、そしてそれをやり抜く力があります。
- 私は、発表会の本番でも、リラックスして100%の実力を発揮できます。
- 私は、算数の計算問題が得意で、素早く正確に計算することができます。
このように、なりたい自分、いつもそうありたい自分を先取りして、「自分は(すでに)○○です」という形で宣言するわけです。皆さんも、ご自分のアファメーションの宣言文を作ってみてください。
アファメーションの文章作りのコツ
(1) 現在形で表現する
「~したい」とか「~しよう」とかいう未来形よりも、「~している」「~しつつある」という現在形・現在進行形で表現するといいでしょう。というのは、無意識は、過去も未来も「現在起こっている出来事」としてしか理解できないからです(そこで、何十年も前に起こった出来事がトラウマになって、現在も苦しむ人がいるわけです)。
「これから~する」「~したい」「目指せ~」というアファメーションの文章にしてしまうと、「現在はその目標は達成されていない」という否定的なイメージを育て、かえって「その目標が達成しない」方向に無意識を働かせることになります。そして、やる気や根気や知恵をそいでしまい、結果として目標達成が難しくなってしまいます。
ですから、「私は○○です」と、すでに達成されたものとして言い切りましょう。
(2) 私を主語にする
主語は「私は」にします。
あるいは自分の名前を呼んで、「○○さん。あなたは」というふうに、自分に呼びかけます。
(3) 肯定的表現をする
できるだけ、否定的表現(~しない)ではなく、肯定的表現(~する。~できる)にします。
無意識は否定的表現を理解しにくいので、たとえば「私は遅刻しない」というアファメーションだと、「遅刻」という言葉だけがクローズアップされて、かえって遅刻する方向に無意識が働いてしまうかもしれません。ですから、この場合は「私は、時間通りに行動できます」というふうにします。
(4) 唱えやすい長さや表現にする
アファメーションの言葉は、一日に何度も唱える方が効果的です。憶えやすいよう、短い言葉で表現しましょう。
そして、実践しながら修正を加え、より自分にぴったりの表現にしていきましょう。
また、他の人、特に子どもたちに繰り返しかける言葉も、否定的な自己イメージを植え付けるような語りかけではなく、肯定的な自己イメージを生み出す表現になるといいですね。
「言葉が人間の無意識プラスの影響、またはマイナスの影響を与える」ということについては、以下の記事もぜひお読みください。
→ プラシーボ効果と子育て
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