子どもの問題行動の裏側にあるもの

スクールソーシャルワーカーだより スクールソーシャルワーカーだより

2026年5月号

「またあの子が授業中に立ち歩いた」「クラスメイトを叩いた」「宿題をやらない」——こうした子どもの問題行動に、頭を悩ませている保護者や先生方は少なくないと思います。

ソーシャルワークでは、問題行動そのものだけでなく、「背景にある理由」に注目します。その背景を知らないまま叱り続けても、穴の空いたバケツに水を注ぐようなもので、行動はなかなか変わりません。むしろ、大人と子どもの関係が悪化することさえあります。

今回は、多くの問題行動の背景にあるものを探ってみたいと思います。

問題行動は「サイン」である

問題行動の多くは、子どもが何かに困っていて、それを訴えようとしているサインです。子どもが問題行動を起こす主な動機には、おおむね次のようなものがあると考えられます。

(1) 注目を引きたい

「誰かに自分を見てほしい」という欲求を満たそうとして、授業中に騒いだり、わざと叱られるようなことをしたりする場合があります。普通にしていたのでは大人に十分にかまってもらえない、あるいはほめられたり認められたりされる経験が少ない場合に起こりやすいです。

(2) 無力感や自信のなさ

「どうせやってもムダ」「自分はできない」という思いが心の奥底にあると、最初から努力を放棄したり、期待されているのとは逆の行動(つまり問題行動)をしたりします。

(3) 言葉の能力の未熟さ

特に幼児は、自分の複雑な感情や欲求を言葉で表現し、相手と言葉で交渉する力が未熟です。そこで、暴力・暴言・反抗・ふてくされ・号泣といった不適切な行動で自分の思いを通し、相手を動かそうとすることがあります。

中学生や大人でも、コミュニケーションの力が十分身についていないと、同じことが起こりますが……。

まず「気持ちを受け止める」ことから始めよう

普段から、「何かあった?」「最近しんどいことがある?」と声をかけてみましょう。すぐには話さなくても、「自分のことを気にしてくれている」という安心感が、子どもの心を少しずつ開いていきます。そして、あなたの話にも耳を傾けてくれるようになるでしょう。

問題行動そのものをよしとし、見過ごすわけではありません。ただ、指導が本当に効果を持つのは、相手に「分かってもらえた」という感覚が生まれてからです。気持ちを受け止めることと、行動を正すことは矛盾しません。順番が大切なのです。

ポジティブな行動を引き出すために

(1) 「できていること」に注目する

問題行動をやめさせることと同じくらい、いや、それ以上に重要なのが、望ましい行動が出たときにそれをしっかり認めることです。

たとえば、普段なかなか宿題をやらない子が、珍しく自分から机に向かったとします。そのとき「言われなくても机に向かったね。それ、すごいな」と一言声をかける。すると、子どもは気持ちよく感じて、同じ望ましい行動を繰り返したくなります。

ポイントは、「結果」ではなく「行動・プロセス」を褒めることです。「100点取れたね」より「ちゃんと机に向かったね」の方が、子どもの「自分はできるという感覚」を育てやすいからです。

(2) 「やめなさい」より「こうしよう」

何をしてはいけないかを伝えるだけだと、子どもは代わりに何をすれば良いか分からないことがよくあります。また、「するな」という否定的な言い方より、「こうしよう」「こうしてね」と肯定的な言い方をされる方が、気持ちよく耳を傾けやすいものです。きっと、皆さんもそうでしょう?

そこで、禁止の代わりに「望ましい行動の提示」を心がけてみましょう。

  • 「ゲームばっかりするな!」→「そろそろ宿題を始めようね」
  • 「授業中にしゃべるな!」→「先生が話しているときは聞いてね」

 ぜひ参考になさってください。

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