2018年4月号
今回は、子どものやる気を引き出すには、自分で選択する力を養う必要がある、というお話です。
やる気スイッチ
「やる気スイッチ」という言葉がCMを通じて流行りましたが、お笑い芸人であると共に、IT企業の役員でもある厚切りジェイソンさんは、「そんなものはありません」と明言しておられます。
自分や人をやる気にさせることができないという意味ではなく、「こうすれば自分や他の人のやる気がわいてくるなんて、そんなお手軽な方法はない」という意味でしょう。
ジェイソンさんが強調しておられるのは、「一人の人間として自分が好きなことをやる」ことの大切さです。また、人間成長に関するセミナー講師をなさっている鈴木博さんも、やる気の源は「自分が決めたことをやる」ことだと指摘しておられます。
もちろん、好きなことだけしかやらないというのは現実的には無理です。しかし、基本的に自分が好きなこと、自分で決めたことならば、その過程で苦しいことや困難なことがあっても、やる気を失うことなくやり続けることができるでしょう。
ある中学生は、英語の勉強が苦手でした。どんなに親や先生に勉強しろと言われても、どうしてもやる気が出ませんでした。
しかし、野球が大好きだった彼は、メジャーリーグで活躍する日本人選手が、流ちょうな英語でインタビューに答えている姿をテレビで見ました。そして考えました。自分もやがてメジャーで活躍できるような野球選手になりたい。今から英語を勉強しておけば、メジャーに入った時にチームメイトと意思疎通がしやすいし、インタビューにもかっこよく答えることができるじゃないか。そして、英語の勉強に対して俄然やる気が生まれました。
やりたいことが分からない
ところが、ジェイソンさんのところには、「そもそもやりたいことが見つからない」という相談がたくさん来るそうです。これに対して、ジェイソンさんは、こんなツイートを残しています。
幼稚園→周りと合わせろ
小学校→周りと合わせろ
中学校→周りと合わせろ
高校→周りと合わせろ
大学→周りと合わせろ
会社→周りと合わせろ
パターンパターン!見えてきたよ!
「やりたいことが分からない」とよく相談受ける理由。
自分で考える機会が今までなかったから。
小さい時から周りの大人にベストな道を考えてもらい、そうするよう命令されてばかりの子どもは、命令されないと何もできない指示待ち人間に育ち、やりたいことやなすべきことを自分で見つけることができなくなってしまいます。
ですから、私たちは、もっと子どもたち自身に自分がどんな行動をするか考え、選ぶ経験値を積ませる必要があります。
制限の中の選択
とはいえ、何でもいいよと放任するのは良くありません。賢い親は制限を設けた上で、その範囲内でいくつかの選択肢を示して子どもに選ばせるというやり方をして、子どもの自立心を育てようとします。
たとえば、幼稚園や学校にはいていく靴下を選ぶ時、「これをはきなさい」と命令すれば簡単です。しかし、3足くらい並べて、「今日はどれをはいていく?」と尋ねるわけです。
あるいは、宿題をやらなければならないという制限は保ちながら、「3年生になったね。宿題は、どの時間にやる? 帰ってきてすぐ? 夕食のあと? お風呂のあと?」というふうに子どもの考えを尋ねます。
メリット、デメリットを考えて決める経験
どんな選択にもメリットとデメリットがあります。短期的なメリット・デメリットもあれば、長期的なメリット・デメリットもあります。
そこで、それぞれの選択肢のメリット・デメリットを子ども自身に予想させ、その上で選ばせてもいいでしょう。そうすることで、子どもは自分で考え、選ぶ力を身につけていくことができます。
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